高齢者を狙う国際電話詐欺の対策はどうする?出てしまったときの対応も紹介
2025年12月11日
近年「+◯◯」から始まる国際電話番号を使った詐欺が全国で報告されています。特に高齢者を狙った手口が目立ち、電話に出てしまっただけで被害が広がるケースもあります。
被害を防ぐには、家族や高齢者を支える立場の方が正しい対策を知っておくことが重要です。この記事では、実際に起きている国際電話詐欺の被害例や、今日からできる対策をまとめました。
【この記事の結論】
・国際電話詐欺の多くは、通話や折り返しをきっかけに個人情報や金銭を狙う手口
・見知らぬ国際番号には出ない&折り返さないのがもっとも効果的
・高齢者世帯では、国際電話不取扱サービスなど環境面での対策がポイント
・スマホ教室などで専門サポートを受けるのも効果的
「でじすけ」では、社会福祉士・SPREAD情報セキュリティマイスターの資格をもつスタッフが、国際電話詐欺の対策などの支援をおこなっています。プライバシーに配慮し、個別スペースのある専用サロンをご用意しております。出張対応や集団向けの講座なども対応可能ですので、お気軽にご連絡ください。
「+◯◯」から始まる国際電話番号が狙われやすい理由

「+◯◯」から始まる国際電話が特殊詐欺に悪用されているのは、発信元を偽装しやすいためです。国内IP電話の本人確認が強化され、特定されにくい国際電話番号にシフトしている背景もあります。
警察庁によると特殊詐欺に利用された電話番号のうち、約73.5%が国際電話番号であるというデータもあります。(※2025年6月末現在)
参考:みんなでとめよう!!国際電話詐欺 #みんとめ | 警察庁・SOS47特殊詐欺対策ページ
国際電話詐欺で実際に起きている被害の例

国際電話詐欺対策を講じる際には、まず典型的な事例を知っておくのが効果的です。ここでは、国際電話詐欺でよくある被害例をご紹介します。
事例1.ワン切り後の折り返しで高額料金を請求される
まずご紹介するのが、短い着信だけ鳴らして切る「ワン切り」の手口です。ワン切り番号に折り返すと、高額な国際通話料金が発生します。
詐欺グループは海外の通信事業者と連携し、被害者の支払う通話料の一部を収益として受け取る仕組みを作っています。
事例2.大手企業や警察の名を騙り個人情報を聞き出される
電力会社・通信キャリアなどを名乗る「偽の自動音声案内」も増えています。警察署など、公的機関に偽装するケースもあるため要注意です。
実在の企業名や公的機関を騙って信頼させ、本人確認や契約内容確認などの名目で個人情報を聞き出そうとします。有名企業や公的機関の名前が出ると、疑いにくくなる心理を利用した手口です。
事例3.自動音声ガイダンスで料金支払いを指示される
実在する企業名やサービス名を騙った架空請求被害も発生しています。着信に出ると自動音声が流れ、未納料金やアカウント停止などを装って支払い操作を誘導するのが手口です。
ご紹介した3つの手口は、折り返し発信や番号入力を促し、通話料・個人情報・金銭を狙う構造が共通しています。被害に1回でも遭うと詐欺グループの「狙いやすい相手」としてリストに載ってしまい、さらなる被害に遭いやすくなるのも問題点です。
国際電話詐欺で高齢者が特に狙われやすい理由

警察庁によると、固定電話からの被害者の大半が60〜80歳代というデータがあります。高齢者世帯は非通知拒否や留守電設定がされていないことも多く、直接話せる可能性が高いためです。
一方、スマートフォンでは20〜30歳代の被害が増加しており、どの年齢層でも被害に遭う可能性はあります。しかし、国際電話詐欺に限らず、高齢者を狙った詐欺が増えているのも事実です。家族や支援者などが主導になり、早い段階で対策するのをおすすめします。
参考:みんなでとめよう!!国際電話詐欺 #みんとめ | 警察庁・SOS47特殊詐欺対策ページ
今すぐできる国際電話詐欺対策

固定電話・携帯電話どちらの場合でも効果的な国際電話詐欺対策は以下のとおりです。
- 見知らぬ国際番号には出ない・折り返さない
- 留守電・着信拒否を標準設定にする
- 個人情報・金銭要求には一切応じない
上記の対策は簡単かつ効果が大きいため、まず取り入れるのをおすすめします。具体的な方法を解説しますので、参考になれば幸いです。
見知らぬ国際番号には出ない・折り返さない
知らない電話に「出ない・折り返さない」だけで国際電話詐欺の大半は防げます。ほとんどの国際電話詐欺は、相手からの応答・折り返しがなければアクションを起こせないためです。
日本の国番号は「+81」です。「+81」以外の番号で、心当たりのない着信があった場合は出ずに無視しましょう。
留守電・着信拒否を標準設定にする
詐欺電話は留守電に切り替わると、多くがメッセージを残さずに切断するのも特徴です。電話に直接出ず、留守電に任せるのも詐欺対策になります。
非通知拒否の利用や、電話帳に登録されていない番号からの着信拒否などが効果的です。
個人情報・金銭要求には一切応じない
電話で個人情報や金銭を求められたら、すべて詐欺と考えて即座に拒否・切断します。 大企業や公的機関を名乗っていても、個人情報や金銭を要求された時点で詐欺の可能性が非常に高いためです。
一度でも情報を渡すと、名簿化されて別の詐欺に転用される危険が高くなります。氏名や口座番号、暗証番号などは電話で伝えないのを徹底しましょう。
携帯電話向けの国際電話詐欺対策

携帯電話の場合、SMSによる偽の請求メッセージやリンクなど、固定電話とは異なる手口もみられます。ここでは、携帯電話(スマートフォン)向けの国際電話詐欺対策を紹介します。
キャリアの迷惑電話対策サービスを利用する
1つ目は、キャリア公式の迷惑電話対策サービスを利用する方法です。怪しい着信に警告表示してくれたり、不審な電話番号を確認できたりします。
危険サイトやウイルス対策が可能なサービスもあります。主なサービスは以下のとおりです。
- NTTドコモ「あんしんセキュリティ」
- au「迷惑メッセージ・電話ブロック」
- ソフトバンク「迷惑電話ブロック」 など
上記は有料オプションの場合もあるため、必要に応じて検討するのがおすすめです。
セキュリティ対策アプリを活用する
迷惑電話対策ができる専用アプリを併用するのもおすすめの方法です。世界中の迷惑電話に関するデータを集めており、より精度の高い対策ができます。
たとえば、警察庁防犯アプリ「デジポリス」には、令和7年12月から国際電話番号ブロックシステムが搭載されました。国際電話からの着信電話を遮断し、詐欺電話をブロックしてくれます。
着信拒否設定を見直す
詐欺電話の多くが、未登録番号・非通知番号を利用しています。スマホ本体の着信拒否設定を見直すだけでも、多くの詐欺電話を遮断できるのでチェックしてみてください。
【設定の見直し方法】
iPhone:「不明な発信者を消音」をオンにする
Android:非通知・通知不可能・登録外番号を拒否設定にする
設定方法がわからない場合は、サポート窓口や「でじすけ」などで相談できます。
固定電話なら「国際電話不取扱サービス」の活用がおすすめ

固定電話を利用している世帯では「国際電話不取扱サービス」の利用が特に有効です。利用すると国際電話の発信や着信が停止されるため、ワン切りや自動音声詐欺を予防できます。
無償で利用でき、固定電話とひかり電話が対象です。「国際電話不取扱受付センター」まで電話またはWeb、郵送のいずれかで手続きをします。
手続きが難しい場合は、最寄りの警察署や「でじすけ」でも相談できます。ただし、国際電話の発着信がすべて止まるため、海外と連絡が必要な家庭では慎重に判断しましょう。
高齢者に家族・支援者が伝えるべきポイント

身近な高齢者が被害に巻き込まれないために、以下のポイントを伝えるのがおすすめです。
- 「出ない・折り返さない」を共通ルールにする
- “なりすまし”被害について伝える
- 一人で判断せず相談窓口を利用してもらう
上記で特に重要なのが「出ない・折り返さない」を共通ルールにすることです。高齢者と話す際は、シンプルで短い表現を使うと伝わりやすくなります。
「出ない・折り返さない」を共通ルールにする
国際電話詐欺のほとんどは、折り返しまたは応答をきっかけに始まるのが特徴です。心当たりのない番号には「出ない・折り返さない」だけを徹底するだけでも多くの被害を防げます。
“なりすまし”被害について伝える
高齢者は聞き慣れた社名を信じやすく、情報を渡してしまう危険性が高いといえます。「◯◯電力」「通信会社」などを名乗る自動音声は要注意です。
近年では警察や裁判所、総務省などを騙るケースもあります。警察官が電話で、捜査対象となっているなどと伝えることはありません。少しでも不安を感じたら、電話を切るように共有しましょう。
参考:警察に偽装した電話番号に注意! | 注意喚起・お知らせ | SOS47の活動 | 警察庁・SOS47特殊詐欺対策ページ
一人で判断せず相談窓口を利用してもらう
犯人は「誰にも言わないで」と孤立させてだますため、第三者が入ることで被害を止めやすくなります。主な相談窓口は、次のとおりです。
【知っておきたい相談窓口】
・警察相談専用窓口「#9110」:警察が最新の詐欺情報を踏まえ、助言や相手方への警告など必要な措置をおこなってくれる。「今すぐお金を払えと言われた」「怪しいが110番するほどではない」といったケースにおすすめ。
・消費者ホットライン「188」:消費生活相談員が法的な観点も踏まえた助言をおこなってくれる。お金や契約、請求に不安がある場合におすすめ。
相談場所のリストを準備しておき、固定電話のそばに置いておくと安心です。
国際電話詐欺を防ぐには高齢者向けデジタルサポートが効果的

国際電話不取扱サービスの設定支援や、詐欺から身を守るスキルが身につくスマホ教室の利用もおすすめの方法です。着信拒否や迷惑電話アプリ、詐欺SMSの見分け方などを教えてもらえるため、コストに対して効果が大きいといえます。
利用する際は高齢者の特性を理解し、対応に慣れている事業者の方が安心です。デジタル庁デジタル推進委員※に相談すると、より専門的な支援が受けられます。
※デジタル庁デジタル推進委員:デジタル機器・サービスに不慣れな方に対し利用方法を教えたり、活用をサポートしたりする取り組みをおこなう者
国際電話詐欺対策のよくあるQ&A

ここでは国際電話詐欺対策のよくあるQ&Aをまとめました。疑問や不安を解消する参考になれば幸いです。
Q1. 見知らぬ国際電話(+◯◯)には出ない方がいいの?
A.心当たりのない「+◯◯」の国際電話には出ない・折り返さないようにしましょう。ワン切りによる高額な通話料請求や架空請求などが全国で急増しているためです。警察庁も国際電話や、見知らぬ電話番号からの着信は無視するのを推奨しています。
Q2. 国際ワン切り詐欺とは?
A.1コールだけ鳴らして切り、折り返しによって高額な通話料を発生させる詐欺です。海外の高額通話地域の番号を悪用し、通話料の一部が詐欺組織に流れる仕組みです。IP電話規制強化後、国際番号へシフトしている背景があります。
Q3. 固定電話でできる一番効果的な対策は?
A.「国際電話利用休止サービス」の利用がもっとも効果的です。海外からの発着信がストップし、国際電話詐欺の多くを根本から防げます。ただし、海外在住の家族や友人などと通話が必要なケースでは、慎重な判断が必要です。
Q4. 携帯でできる有効な対策は?
A.「迷惑電話対策サービス」+「着信拒否設定」の併用がもっとも有効です。怪しい番号を自動で警告・ブロックできます。
Q5. 詐欺ではないかと不安なときはどこに相談すればいい?
A.迷ったら「#9110(警察相談専横窓口)」または「188(消費生活センター)」に相談しましょう。詐欺かどうかの判断や、支払うべきかどうかの判断を専門機関がサポートしてくれます。
まとめ:高齢者を国際電話詐欺から守る対策作りがポイント

高齢者を国際電話詐欺から守る対策でもっとも重要なのは、知らない電話に出ない&折り返さないことです。国際電話不取扱サービスと、迷惑電話設定を組み合わせるのも強力な予防策になります。
高齢者がターゲットになりやすいため、高齢者と関わる各所が連携し「誰一人取り残さない」体制作りがポイントです。デジタルサポートで、高齢者自身に詐欺から身を守るスキルを修得してもらうのも効果的といえます。
「でじすけ」では、国際電話詐欺対策などの支援をおこなっています。出張対応や集団向けの講座などもおこなっておりますので、以下からお気軽にご連絡ください。
