高齢者が寒さを感じやすいのはなぜ?家族ができる寒さ対策と冬の過ごし方
2025年11月1日
高齢者は寒さを感じやすく、温度変化によって体調を崩しやすくなります。そのため「年中寒い、寒いと言っているので心配」という方も中にはいらっしゃるのではないでしょうか。
本記事では高齢者が寒さを感じやすい理由やリスク、冬を乗り切るための対策についてご紹介します。食事や環境整備、見守り体制の強化により、寒さによる健康リスクを軽減できます。さまざまな理由で見守りが難しい場合は、サービスの利用も選択肢のひとつです。
岩手県奥州市・水沢市で見守りサービスの利用を検討されている方は、ソーシャラスにぜひご相談ください。見守り以外にも、灯油の購入や雪かきなどもまとめてご依頼いただけます。
「こんなことは頼めるかな?」といったお問い合わせだけでも大歓迎です。お気軽に以下のボタンからご連絡ください。
高齢者が寒さを感じやすくなる5つの理由

高齢になると、若いときよりも寒さを感じやすくなる理由は以下の5つです。
・基礎代謝の低下
・血行不良
・自律神経の乱れ
・温度を自覚しにくくなる
・食事量の減少
それぞれの理由について詳しく解説します。
理由①基礎代謝の低下
1つめの理由は、加齢によって基礎代謝が低下し体温が下がるためです。高齢者の基礎代謝量が低下する主な原因には、筋肉量の減少が挙げられます。
たとえば、立ち上がるのに重要となる大腿四頭筋(太ももの前面にある筋肉)の筋量は、80歳代になると30歳代の約半分程度に減ります。基礎代謝の低下は、免疫力が下がったり疲れやすくなったりといった不調をきたす原因のひとつです。
特に降雪のある地域は雪かきをしないと外出できないため、冬は閉じこもりになる高齢者が増えます。閉じこもりは筋力低下をまねき、さらに基礎代謝が低下します。ほかにも転倒や基礎疾患の悪化、認知機能低下などのリスクがあるのも問題点です。
参考:健康日本21アクション支援システム Webサイト|厚生労働省
理由②血行不良
血行不良によって体内でつくられた熱が全身に伝わりにくくなるのも、寒さを感じやすくなる原因です。加齢による動脈硬化によって血管のしなやかさが失われると、血液の循環効率が悪くなります。
手袋や靴下で保温しても、氷のように手足が冷たくて困っている高齢者が身近にいる方も多いのではないでしょうか。これは、血行不良により、手足の末端にまで温かい血液が届きにくくなるためです。
特に貧血のある高齢者は熱を届ける力がさらに弱くなるため、より寒さを感じやすくなる傾向にあります。
理由③自律神経の乱れ
体温を一定に保つ自律神経の機能が乱れやすく、気温の変化に身体が対応しにくくなります。これは、寒いときに血管を収縮させて熱の放出を防ぐ、といった体温調節の反応が遅れるためです。
中には認知症の症状によって、体温調節機能に異常が生じる場合もあります。
理由④温度を自覚しにくくなる
加齢により皮膚の温度センサーの感度が低下するのも理由のひとつです。温度センサーがうまく働かず、真夏でも寒いと厚着したり、身体が冷え切っているのに気づかなかったりします。
防寒対策が遅れると気づかないうちに体温が低下し、後述する低体温症のリスクが高まるため要注意です。
理由⑤食事量の減少
食事から摂れる栄養素やエネルギー量が減るのも、寒さの感じやすさに影響します。これは、体内で熱を生み出すための燃料が不足するためです。
高齢者の食事は糖質に偏りやすく、筋肉をつくる栄養素のたんぱく質が不足しやすい傾向にあります。 飲み込む力が低下し、食事だけでは必要な栄養素を摂取しきれない場合も高齢者には多くみられます。
寒さが引き起こす3つのリスク

寒さは高齢者にさまざまな健康リスクを引き起こします。よくあるケースは以下の3つです。
・低体温症
・ヒートショック
・かくれ脱水
それぞれの症状や原因などを、くわしく解説します。
リスク①低体温症
低体温症とは、身体の中心部の体温(深部体温)が35℃以下に低下した状態です。深部体温は生命維持に関わる臓器の温度を反映しており、命に関わる危険性もあります。
高齢者は寒さへの適応力が低いため、室内でも低体温症のリスクがあります。活動量の低下や不十分な水分摂取による血行不良も、低体温症のリスクを高めます。
リスク②ヒートショック
ヒートショックとは、急な気温差によって血圧の急激な変化をきたすことで発生する健康被害です。気温差10℃以上で発生するリスクが高くなり、冬だけではなく年中発生します。
よくあるケースが入浴時に寒い脱衣所で血管が収縮し血圧が急上昇、熱い湯船で血管が拡張し血圧が急降下するケースです。
特に高血圧や糖尿病など基礎疾患があると、ヒートショックのリスクが高くなります。また、冬だけでなく、夏場に炎天下から冷房の効いた部屋へ移動する際も要注意です。
参考:冬場に多発! 温度差で起こるヒートショック | 済生会
リスク③かくれ脱水
夏の脱水と異なり、目立った症状が現れにくい「かくれ脱水」は冬に多く発生します。もともと高齢者は喉の渇きを感じにくいのですが、寒さによりさらに感じにくくなります。
また、冬の気温や暖房使用で乾燥や低湿度になりやすいのも、かくれ脱水を招きます。トイレの失敗が心配で水分摂取を控えてしまうのも、よくある原因のひとつです。
冬によく着る気密性の高い服は、体内に熱がこもり発汗しやすくなります。発汗によって、さらに体内の水分を奪われる可能性があるため要注意です。
高齢の親のために今日からできる3つの寒さ対策

高齢の親が寒さで体調を崩さないか心配な方に、おすすめの寒さ対策をご紹介します。弊社で支援している寒さ対策もご紹介しますので、参考になれば幸いです。
室内環境を整える
加齢に伴い行動するのがおっくうになりやすいため、家族が率先して生活環境を整えるのがポイントです。WHOでは、冬の室温を18℃以上に保つことを推奨しています。
一方で日本の住宅の約9割で、室内温度が18℃以下というデータもあります。暖房代を気にする高齢者は多いですが、厚着だけでは限界があることは知っておいてください。
具体的な対策としては、以下のような環境整備をおすすめします。
・リビングや寝室、トイレへの温度計設置
・脱衣所に人感センサー付き小型ヒーター設置
・窓に断熱シートを貼る など
火災ややけどのリスクがあるため、足腰や認知機能に心配がある場合はエアコンの暖房機能が安心です。
灯油の補充が大変で石油ストーブの使用をためらってしまう場合は、配達サービスの利用をおすすめします。ただし、業者によっては、2缶からなどの制約があるケースもあります。弊社では少量の灯油購入にも対応していますので、お困りの方はぜひご相談ください。
(※)参考
WHOが強く勧告「冬の室温は18度以上」が目安 18度未満で脳卒中や心臓病などのリスク高まる【Nスタ解説】 | TBS NEWS DIG (2ページ)
たんぱく質の摂取を勧める
筋肉をつくるたんぱく質を積極的に摂取するのもおすすめの方法です。量が食べられない場合は、たんぱく入りゼリーや飲料などを間食に取り入れてみましょう。
※持病などで食事制限がある場合は、かかりつけの医師に相談してください。
たんぱく質を摂ると、消化の過程で熱が生まれる「食事誘発性熱産生(DIT)」効果も期待できます。糖質に偏りやすい高齢者の栄養状態を改善することは、介護予防の面でも重要です。
特に寒い冬は、買い物代行を弊社にご依頼いただくお客様が増える傾向にあります。近隣のスーパーが倒産したり、宅配の日数が限られていたりすると、生鮮品や食べたいものを手に入れにくくなるためです。
買い物代行をご依頼いただくと、ヘルパーを通して買い物の状況が把握しやすくなります。本人の食べたいものや生鮮食品などを安定して手に入れやすくなれば、栄養状態の改善も期待できるのもメリットです。
(※)参考
「さりげない」声かけと見守りを続ける
室温や食事・水分摂取状況を確認し見守るのも大切な支援です。一方的な指示は反発を招くため、親の自尊心を尊重し、さりげなく声かけ・見守りするのがコツです。
たとえば天気をきっかけに室温を確認したり、好みの食べ物や飲み物をプレゼントしてみたりといった方法が挙げられます。
中には干渉を嫌うタイプや家族に対して強く出るタイプなど、ご家族による見守りが難しい場合もあります。この場合、福祉職などプロに介入してもらうのが効果的です。
地方ではヘルパー不足が深刻化しており、サービスに制限がかかっている現状もあります。困ったときに頼れるサービス先は、複数リサーチしておきましょう。
離れて暮らす親が心配なら見守りサービスも選択肢に

離れて暮らす親御様の暮らしぶりが、電話ではわかりにくいと悩まれる方も多いのではないでしょうか。ご自身で見守りや声かけが難しい場合は、見守りサービスの導入も選択肢のひとつです。
要介護認定を受けている場合は、まずケアマネジャーなど担当者に相談してみましょう。介護を必要としない方や、介護保険の範囲でサービスを受けられない場合は、自費の生活支援サービスをおすすめします。
サービス範囲が広く柔軟に対応してくれる事業者を選ぶと、より希望するサービスを受けやすくなります。料金形態は事業者によって異なるため、事前の確認が必要です。
「サービスを入れても拒否されるのではないか」と心配されるご家族は少なくありません。弊社の事例では、最初は拒否していても、徐々にサービスを受け入れてくださる方がほとんどです。
まずは雪かきや洗濯など「ご本人が困っていること」からサービスを導入すると、受け入れてもらいやすくなります。ご家族以外と会話する機会になり、気分転換や生活の張りになるというメリットもあります。
寒さを感じやすい高齢者の冬の暮らしには安心して暮らせる「ひと工夫」を

高齢者は、基礎代謝の低下や血行不良などの理由から寒さを感じやすくなります。体調を崩すリスクも高くなり、特に低体温症やヒートショック、かくれ脱水には注意が必要です。
冬を乗り切るための対策として室温維持やたんぱく質の摂取などが挙げられます。高齢者自身で対策するのは難しいケースが多く、さりげない声かけや見守りが重要です。遠方などで見守りが難しい場合は、見守りサービスの利用も有効な選択肢です。
ソーシャラスでは、生活支援や見守りサービスを提供しています。お客様との信頼関係を大切にしており、リピート率はほぼ100%とご好評いただいています。
ほかには頼みにくい「ちょっとした困りごと」にも積極的に対応しておりますので、お気軽に下のボタンからご相談ください。
