高齢者の室内での転倒を防止しよう!各場所の転倒防止対策を解説
2023年8月9日
「最近、親の歩き方がおぼつかなくなってきた感じがする…」
「高齢者が転んで骨折すると、一気に体が弱ると聞いたことがあり心配」
高齢者は、加齢によりどうしても運動機能が低下し、転倒しやすくなります。
転倒によるケガ・骨折が原因で要介護や寝たきり状態につながる可能性もあるため、できる限り転倒対策をしておきたいところです。
この記事では、高齢者の転倒のリスクや、自宅内で転倒しやすい場所と場所別の対策方法を解説します。
手軽にできる対策もあるので、高齢の親御さまが転倒しないように対策を取ろうと思っている方は、ぜひ参考にしてください。
なお、この記事は奥州市で高齢者向けの生活支援サービスを行っているSOCIARAS(ソーシャラス)が解説します。
部屋の片付けや電球の交換など生活のちょっとした困りごとを、10分500円のリーズナブルな価格で解消します。
奥州市近辺に一人暮らしの親御さまがいる方、「すり足で歩いているから転倒しそうで心配だ」とお悩みの方は、ぜひ一度SOCIARASにご相談ください。
高齢者の転倒の実態と危険性
高齢者の歩き方には安定感がなく、転びやすいイメージがありますが、実際にどのくらい転倒事故が起きているのでしょうか。
ここでは、高齢者の転倒事故に関するデータと、高齢者が転倒する危険性を解説します。
高齢者の日常生活における事故の8割が転倒
東京消防庁の緊急搬送データによると、高齢者の日常生活における事故のうち、82.1%が「ころぶ」事故という結果が出ています。
「ころぶ」事故で緊急搬送された方の39.1%は、中等症(生命の危険はないが、入院の必要があるもの)以上と診断されており、転倒が原因で入院する高齢者も多いのです。
(参照元:東京消防庁<安全・安心><トピックス><救急搬送データからみる高齢者の事故>)
さらに、消費者庁のデータでは、高齢者の転倒事故の発生場所は「自宅」が48%で最多でした。
症状別では「擦過傷、挫傷、打撲傷」がもっとも多いですが、次いで「骨折」も多くなっています。
骨折の場合は76%の人が要入院となるなど、深刻になりやすいことが分かっています。
(参照元:10(てん)月10(とう)日は「転倒予防の日」、高齢者の転倒事故に注意しましょう)
また、厚生労働省の調査によると、「骨折・転倒」は、高齢者が要介護になった原因の第3位です。
(参照元:厚生労働省「令和4年度 国民生活基礎調査」)
このように、高齢者の転倒は入院や要介護状態につながりやすく、転倒の発生場所は自宅がもっとも多いことが分かっています。
高齢者の転倒のリスク
高齢者が転倒し、けがや骨折を負い入院すると、ベッドで過ごすことが多くなり、結果として筋力や運動機能が低下してしまいます。
さらに、手術が必要になった場合は、以前のような生活を送れるようになるまでリハビリが必要になるかもしれません。
このように、転倒により筋力や体力が衰えると、要介護や寝たきりにつながる可能性も十分考えられます。
また、精神的ダメージを受け、「また転倒したらどうしよう」と思い、外出したくなくなる方もいます。
家にこもりがちになると、筋力や体力の低下をまねき、さらに転倒しやすくなる悪循環に陥ることもあるでしょう。
高齢者が転倒しやすい理由
そもそも高齢者は転倒しやすいといわれますが、その理由は2点あります。
運動機能や筋力の低下
高齢になると、どうしても運動機能や筋力、視力などが低下します。
さらに反射神経の衰えも重なり、バランスを崩した際に姿勢を立て直せずに転倒してしまう場合も。
若いころは気にならなかった家庭内のわずかな段差も、高齢者にとっては転倒の原因となるのです。
持病や薬の影響
持病による体調不良やふらつきが転倒につながることも考えられます。
服用している薬の副作用による眠気や倦怠感も、転倒の原因のひとつです。
室内で転倒しやすい場所と対策方法
東京消防庁のデータでは、高齢者の「ころぶ」事故の発生場所の56%が「住宅等居住場所」です。
住宅内の転倒事故の発生場所を割合の高い順に並べると、以下のとおりです。
- 居室・寝室
- 玄関・勝手口
- 廊下・縁側・通路
- トイレ・洗面所
- 台所・調理場・ダイニング・食堂
(参照元:東京消防庁<安全・安心><トピックス><救急搬送データからみる高齢者の事故>)
ここでは、自宅内で転倒しやすい場所と、転倒防止のためにできる対策方法をお伝えします。
また、手すりを付ける工事については介護保険が適用されるため、要介護認定を受けた方はケアマネジャーに相談してから工事に入りましょう。
居間
高齢者が多くの時間を過ごす居間は、以下のような要因で転倒が起きやすいところです。
- 敷居の段差
- カーペットの端
- 電源コード
- 床に置いた新聞
- 安定の悪い家具
足を上げにくくなっている高齢者にとっては、少しの段差でも転倒につながるおそれがあります。
居間の転倒防止ポイント
居間の転倒防止対策では、床をなるべくフラットな状態に保つことが重要です。
具体的には、以下の点に気をつけましょう。
- なるべく床に物を置かない
- 電気コードにケーブルカバーを付ける
- 不要な電気コードは抜く
- 敷居は段差解消グッズで段差を埋める
- 机や椅子、棚などつかまりやすい家具は固定する
- カーペットの端がめくれないように固定する
敷居の段差解消グッズはさまざまなものが市販されており、DIYで設置可能です。
段差解消グッズの小さな三角柱状のスロープを設置すると、敷居につまずくことなくスムーズに通れます。
カーペットの端がめくれてしまう場合は、下が畳であればピンで留めるのもよいでしょう。
フローリングの場合は、カーペットの裏に滑り止めのテープやシートを貼ったり、滑り止め付きのカーペットに替えたりする方法があります。
玄関
玄関の上がりかまちなどの段差は、室内より高いものが多いため、転倒が起きやすいスポットです。
また、靴の脱ぎ履きでバランスを崩しやすい箇所でもあります。
玄関外の階段や段差も、高齢者に負担がかかりやすい要因です。
玄関の転倒防止ポイント
玄関での転倒を防止するためには、体勢が不安定にならないようにすることがポイントです。
具体的には、以下の点に注目し対策を行いましょう。
- 上がりかまちが高すぎる場合は踏み台を置く
- 手すりを設置する
- 足元に灯りを付ける
- 段差の先端部に滑り止め・蛍光テープを貼る
- 脱ぎ履き時に腰かけられる椅子を設置する
- 玄関マットは滑り止めの付いたものを選ぶ
- 玄関外の階段にはスロープ・手すりを付ける
足元に補助照明を付けると、靴の着脱がしやすくなるうえ、足元がよく見えるようになり転倒防止につながります。
靴の脱ぎ履きは、バランスを崩さないよう椅子に腰かけて行うように心がけましょう。
廊下
廊下はトイレに行く際など必ず通る場所ですが、荷物が置いてあったり、照明が暗かったりして転倒が起こりやすいです。
各部屋との間に段差がある場合も多く、油断できない場所といえます。
廊下の転倒防止ポイント
廊下での転倒を防止するためには、以下のポイントに気をつけましょう。
- 廊下を通るときは照明をつけるように心がける
- 足元灯を設置する
- 荷物を置かない
- 手すりを付ける
センサーで点灯する足元灯を付けると、スイッチをつけずとも自動的に照明がつくため便利です。
また、廊下には古新聞などを置きがちですが、障害物となることもあるので、なるべく廊下にはものを置かず、スペースを確保しましょう。
トイレ
高齢者はトイレが近くなる傾向にあるうえ、トイレでは座る・立ち上がるなどの上下運動が多く、負担がかかります。
トイレ内で無理なく動けるか、トイレまでの廊下は安全に通れるかなどをチェックしておきましょう。
トイレの転倒防止ポイント
トイレでの転倒を防ぐためには、以下の点が重要です。
- 出入り口に段差がある場合は、つかまれる縦手すりを付ける
- 出入り口から便器までの移動のために横手すりを付ける
- 便器に座るときの上下運動のために縦手すりを付ける
- 照明を明るくする
高齢者にトイレを安全に使ってもらうためには、手すりの活用が重要です。
要介護認定を受けている場合は介護保険が適用でき、1~3割負担で手すりの購入やレンタル、取付工事ができます。
台所・食堂
台所や食堂は、キッチンマットにつまずいたり、高いところにあるものを取ろうとしたりしての転倒が多い場所です。
高齢者にとって、ちょっと背伸びをすれば届きそうなものを取るという動作は大変危険ですので、ものをしまう場所にも工夫が必要です。
台所・食堂の転倒防止ポイント
台所・食堂での転倒を防ぐためには、以下のポイントに注意しましょう。
- 高いところにものを置かない
- どうしても高いところのものを取るときは、安定した踏み台を使う
- キッチンマットを使わない
- キッチンマットを使うなら端を固定する
年齢を重ねるにつれて身体能力が落ちてきたら、キッチンの使い方も変えていくのがおすすめです。
使用頻度の低い食器や調理器具は、高いところの収納にしまうことが多いですが、高齢になったら手の届く範囲に収納場所を変えるとよいでしょう。
階段
階段は、転倒すると転がり落ちるおそれがある危険な場所です。
加齢とともに背中が曲がると、重心が後方に傾くことで、階段を上る際に後ろに倒れやすくなります。
また、階段を降りる際は、後ろに傾いた重心のバランスを取るために前かがみになりやすく、転がり落ちる可能性があります。
階段の作りが急で、昇り降りが大変になってきた場合は、生活拠点を1階に変更することがおすすめです。
階段の転倒防止ポイント
階段はなるべく使わないようにするとよいですが、使う場合は以下のような対策をしておきましょう。
- 段差のふちに蛍光テープを貼る
- 足元灯を設置する
- 滑り止めマットを設置する
- 手すりがない場合、手すりを設置する
- スリッパをルームシューズに替える
滑り止めマットには蛍光色のラインが入っている製品もあるため、そのような製品を選ぶのもおすすめです。
また、スリッパはふとした拍子に脱げやすく、転倒の原因となるリスクがあります。
かかとがあって脱げにくいルームシューズのほうが歩きやすいため、スリッパを履いている方はルームシューズに替えるのもひとつの転倒対策です。
浴室・脱衣所
浴室は床が濡れていたり、シャンプーなどの泡が残っていたりしてすべりやすい場所です。
また、冬場は浴室や脱衣所の気温が低くなりやすく、血圧の変化によるヒートショックが起こりやすいです。
濡れた床で滑るだけでなく、ヒートショックによるめまいで転倒する可能性も考えておきましょう。
浴室・脱衣所の転倒防止ポイント
浴室と脱衣所における転倒を防止するためには、以下の点が重要です。
- 手すりを付ける
- 滑り止めマットを敷く
- 浴室の床にクッション性のあるマットを敷く
- 浴槽のわきにベンチとなる椅子を設置する
- 冬場は浴室と脱衣所を十分に温める
バランスを崩してもつかまれる手すりを設置したり、すべりにくいマットを敷いたりしましょう。
万が一浴室内で転倒しても、クッション性の高いマットを敷いていれば衝撃を吸収できます。
洗い場から浴槽に入るときにも、手すりがあると移動しやすくなります。
移動の際に、一旦腰かけられる椅子を置くのもよいでしょう。
高齢者が転倒し、自力で動けなくなったときに活躍するグッズ
高齢者と同居している場合は、転倒に気づきやすいですが、離れて暮らしていると転倒して起き上がれなくなっても気づけません。
このような場合でも、高齢者が緊急通報できるペンダントや転倒検知機能のあるスマートウォッチを着けていると、外部に通知することができます。
一人暮らしの高齢者の転倒に備えられるグッズを、2種類紹介します。
緊急通報サービス
緊急通報サービスとは、高齢者がペンダント型の装置を身に付けておき、動けない状況に陥ったときにペンダントのボタンを押すと見守りセンターに通報できるサービスです。
主にセキュリティ会社がサービスを提供しますが、中には自治体で行っている場合もあります。
奥州市では「高齢者地域生活サポート事業(緊急通報装置の貸与)」として、疾病による見守りが必要な高齢者に緊急通報装置を貸し出しています。
急変リスクの高い心疾患や脳血管疾患などがある方が対象ですが、装置代金や利用料金は無料です。
スマートウォッチ
Apple Watchなどのスマートウォッチには、転倒検知機能が搭載されたものもあります。
転倒検知機能とは、転倒などの衝撃を受けたあと一定期間操作がないと、自動的に緊急通報サービスに電話がかかり、緊急連絡先にも通知される機能です。
スマートウォッチは転倒検知以外にも、心拍数を計測したり、座りっぱなしを警告してくれたりなど、高齢者の健康維持にも効果的な機能が搭載されています。
スマートウォッチはスマートフォンと連動して作動するものが多いですが、高齢者はスマートフォンを持っていない場合も多いため、単独で使えるスマートウォッチがおすすめです。
高齢者の健康のために、室内の転倒防止対策を!
高齢者は運動機能や筋力の低下で転びやすく、転倒事故の半数近くが自宅内で起きています。
転倒で骨折・入院が必要になると、運動機能のさらなる低下をまねき、要介護や寝たきり状態につながる可能性もあります。
転倒防止対策には、段差を解消したり、手すりを付けたりしてバランスを崩さず移動できるように室内をリフォームしましょう。
高齢者が一人暮らしをしている場合は、転倒しても外部に連絡できるように緊急通報サービスやスマートウォッチなどの活用がおすすめです。
SOCIARASは、奥州市で生活支援サービス・訪問型見守りサービスを提供しています。
見守りサービスでは、離れて暮らすご家族に代わり、ヘルパー資格を有したスタッフがお宅へ訪問し、親御さまの様子を見守ります。
- 対応エリア:奥州市と金ヶ崎町、周辺自治体も対応可能
- 料金:1回30分~1時間、2,000円
生活支援サービスでは、部屋の片付けや電球の交換など「生活のちょっと困った」を解決するサービスを10分ワンコイン(500円)で提供しております。
リーズナブルな料金で、お気軽にご利用いただける点が特徴です。
室内を移動しやすくする片付けや模様替え、電球の交換などの転倒対策も行いますので、奥州市周辺に高齢の親御さまがいる方は、SOCIARASまでぜひお気軽にご相談ください。