高齢者の免許返納後の「車の代わり」となる移動手段を7つ紹介
2024年2月9日
高齢の親の運転が危なっかしくなり免許返納を促そうと思っても、車がないと生活が不便になると言われ、なかなか免許返納を説得できない方も多いのではないでしょうか。しかし、車の代わりとなる移動手段を見つけられたら、「免許を返納しても外出できるなら…」と親の気持ちが前向きになるかもしれません。
今回は、高齢者が免許を返納した後に、車の代わりとして使える移動手段を7つ紹介します。高齢の親に免許返納をうまく説得するコツも解説するので、親の免許について悩んでいる方はぜひ最後までご覧ください。
当社・SOCIARAS(ソーシャラス)は、岩手県奥州市で福祉タクシーや見守りサービスなどを通じて、高齢者の住み慣れた地元での生活をサポートしています。奥州市に離れて暮らしている高齢の親御さまがいる方は、お電話やメールフォームからお気軽にご相談ください。
高齢ドライバーの事故発生状況
年齢を重ねるにつれて、視野が狭くなったり、判断力が低下したりして、操作ミスから事故を起こしやすくなります。警視庁のデータから、高齢ドライバーの事故発生状況をみていきましょう。
事故全体に占める高齢運転者の事故割合
高齢運転者とは、原付以上を運転している65歳以上の人のことを指します。
警視庁の統計では、交通事故全体に占める高齢運転者が起こした事故の割合は、15~16%を占めます。
令和2年(2020) | 令和3年(2021) | 令和4年(2022) | |
交通事故発生件数 | 25,642 | 27,598 | 30,170 |
高齢運転者(第一当事者)交通事故発生件数 | 4,246 | 4,370 | 4,579 |
事故全体に占める高齢運転者の事故割合 | 16.6% | 15.8% | 15.2% |
また、「違反別にみた高齢運転者の交通事故発生状況」は、以下のとおりです。
- 安全不確認:34.7%
- 交差点安全進行:18.0%
- 前方不注意:11.6%
- ハンドル・ブレーキ操作不適:7.6%
- 動静不注視:5.9%
(引用:防ごう!高齢者の交通事故! 警視庁)
安全不確認の違反で事故を起こした高齢ドライバーが最も多いという結果が出ています。
免許返納後に車の代わりとなる移動手段
高齢になり、親の運転に不安を覚えるようになると、「免許返納」を考える方も多いでしょう。しかし、自家用車を運転しないと食料品の買い出しに行けなくなるなど、免許の返納にはデメリットがつきものです。
そこで、免許を返納しても、代わりとなる移動手段があれば、車を運転していた頃と変わりなく買い物や趣味で自由に外出できます。車の代わりとなる移動手段には、以下のものがあります。
- 電動アシスト自転車
- シニアカー(電動カート)
- 電動車椅子
- 鉄道・路線バス
- タクシー
- 介護タクシー・福祉タクシー
- オンデマンドバス
一つずつ特徴をみていきましょう。
電動アシスト自転車
電動アシスト自転車は、モーターが搭載されており、ペダルの足こぎを補助してくれる自転車です。少ない力で前に進めて、坂道もらくらく登ることができます。
いわゆるママチャリタイプと、安定感に優れた三輪タイプがあり、高齢者が買い物に使用するなら、大きなバスケットがついたタイヤが小さめの三輪タイプがおすすめです。
電動アシスト自転車は、自転車と同じく「軽車両」に分類されるため、免許は不要です。時速10kmを超えるとアシスト機能に制限がかかり、高齢者の漕ぐ力ではそこまでスピードが出ないようになっている点も安心できます。
シニアカー(電動カート)
シニアカー(電動カート)は、三輪か四輪の車椅子のような乗り物で、ハンドルで操作するため「ハンドル型電動車椅子」とも呼ばれます。
主に屋外での長距離移動用として用いられており、免許は不要で、道路交通法では歩行者と同じ扱いです。そのため、歩道がある場合は歩道を走行し、歩道がない場合は路側帯を走行します。
最高時速は、成人が早歩きする速さ程度の6km/hに設定されています。要介護2~5の方がシニアカーをレンタルする場合は、介護保険を適用できます。
電動車椅子
電動車椅子はシニアカーとよく似ていますが、ハンドルはなく手元のジョイスティックで操作する点で異なります。コンパクトなサイズで小回りがきき、商業施設の中にもそのまま乗って入店できる場合が多いです。
モーターで動くため、従来のように手で漕ぐ必要がなく、替えのバッテリーを持ち歩くことで長時間の移動にも使えます。
電動車椅子も、道路交通法では歩行者の扱いになり、免許は必要ありません。要介護2~5の方であれば、電動車椅子のレンタルに介護保険を利用できます。
鉄道・路線バス
自宅と目的地の近くに駅や停留所がある場合は、鉄道や路線バスなどの公共交通機関を利用するのが安心です。免許を返納した方の身分証明書となる「運転経歴証明書」を提示することで、割引を受けられる自治体も多くなっています。
当社のある岩手県奥州市では、市のコミュニティバスの降車時に運転経歴証明書を提示すると、運賃が半額になります。
運転免許証を自主返納するとコミュニティバスの運賃が半額になります/奥州市公式ホームページ
タクシー
公共交通機関が充実していない自治体では、タクシーも免許返納後の移動手段の一つです。
「食料品の買い出しにタクシーを使うのは、運賃のことを考えるとちょっと…」と思われる方も多いかもしれません。しかし、自家用車にかかっていた年間30~40万円の維持費を、代わりにタクシーでの移動に使っていると考えれば、事故を起こすリスクがなくなることを考えてもよい選択肢といえるのではないでしょうか。
岩手県タクシー協会では、運転経歴証明書を提示した65歳以上の方は、タクシー料金を1割引にするサービスを行っています。当社・ソーシャラスの福祉タクシーでも、運転経歴証明書のご提示で料金を1割引いたしますので、ぜひご活用ください。
介護タクシー・福祉タクシー
介護タクシーや福祉タクシーは、車椅子のまま乗り込める福祉車両を利用したタクシーで、主に一般のタクシーでは乗り降りしづらい方が利用するものです。
介護保険が利用できるものと利用できないものがあり、介護保険が利用できるものを特に「介護保険タクシー」と呼んで区別します。
介護保険タクシーは、通院や役所に届け出を出す際など「日常生活上または社会生活で必要な行為に伴う外出」のみが対象です。そのため、買い物や退院時の送迎などで利用したい場合は、介護保険外の介護タクシーや福祉タクシーを利用することになります。
介護保険タクシーと福祉タクシーの違いは、以下の記事で詳しく解説しているため、ぜひ参考にしてください。
福祉タクシーと介護タクシーの違いを7つのポイントから解説
当社・ソーシャラスの福祉タクシーは、介護保険は適用されませんが、10分900円のわかりやすい時間制で、通院のみならず美容院や冠婚葬祭など、どのような目的でのご利用も歓迎です。ご利用の際は、以下からお気軽にご連絡ください。
オンデマンドバス
オンデマンドバスとは、乗りたい区間と時間帯を指定すると、他の乗客と相乗りで利用できる予約制のバスサービスです。事前予約すれば、希望時間に自宅近くから目的地まで乗せてくれます。
奥州市では「地区内交通」という名称で、サービスが行われています。利用する日の前日までに電話で地区センターに予約すると、自宅近くの乗降場所から目的地まで小型車両に乗せてもらい移動できます。
奥州市の地区内交通を利用したい方は、「地区内交通(事前予約型交通)/奥州市公式ホームページ」をご覧ください。
高齢の親に免許返納を説得する5つのコツ
ここまで免許返納後の車の代わりとなる移動手段を紹介しましたが、親御さま本人の強い希望で車に乗り続けているという方も多いでしょう。しかし、事故を起こすリスクを考えると、家族としてはできるだけ早く免許を返納してほしいと考えるのは自然なことです。
高齢の親に、免許の返納を説得する際には、以下の5つのコツを押さえておきましょう。
- 家族で協力する
- コスト面から訴える
- 免許返納のメリットを伝える
- 周囲の人に協力してもらう
- 話す場所や時間帯に気を配る
一つずつポイントを解説します。
家族で協力する
免許返納を促す役目を、家族のうちの誰か一人に任せてしまうと、事はうまく運びません。
たとえば、父親に免許を返納させたい場合、母親ばかりに説得役を任せるのではなく、普段あまり話さない子どもたちも返納を促すことで、父親の気持ちが変わるかもしれません。父親がなぜ免許を返納したくないのかをしっかり聞き、対策を家族で話し合えるとよいでしょう。
コスト面から訴える
自家用車は乗る機会が少なくなっても、持っているだけでも費用がかかります。自動車税や車検費用、ガソリン代などの維持費で、年間約30~40万円かかるといわれています。
代替の交通手段を提示した上で、維持費にいくらかかっているのかを具体的に計算し、シミュレーションしてみるのも一つの説得方法です。「これだけあればもっと旅行に行けるよ」など、楽しみにお金を使うことを提案してみましょう。
免許返納のメリットを伝える
免許返納のメリットは、第一に「交通事故を起こすリスクがなくなること」です。しかし、自分の運転に自信がある親は、そのメリットを伝えてもあまり響かないかもしれません。
そのような方には、運転経歴証明書を提示して受けられる地域の特典を伝えてみるのがおすすめです。たとえば、奥州市では運転経歴証明書の提示で以下のサービスが受けられます。
- 奥州市:コミュニティバス運賃半額
- 岩手県タクシー協会:タクシー料金1割引
- イオン:お買い上げ3,000円(税込)以上ごとに1箱配達料金が無料
スーパーやホームセンターでも、買ったものを無料で家に配達してくれるサービスがあるため、車がなくても買い物がしやすくなると伝えてみましょう。
免許返納に必要な手続きや、奥州市の特典などは、以下の記事で詳しく解説していますので、ぜひご覧ください。
免許返納のタイミングは?必要な手続きや奥州市で受けられる特典も紹介
周囲の人に協力してもらう
家族だけでなく、歳の近い友人知人で免許を返納した方から自分の経験を話してもらうのもよいでしょう。「そこまで困っていることはないよ」という体験談を聞けたら、返納に前向きになってくれるかもしれません。
また、かかりつけ医に協力してもらい、返納を促してもらうと、「お医者さんが言うのだから…」と素直に聞き入れる可能性が高まります。
話す場所や時間帯に気を配る
話しにくいことを切り出す際は、話す場所や時間帯にも気を配りましょう。バタバタしていたり、空腹だったりする食事前は、落ち着いて話せず、よい返事がもらえる確率が低いです。
相手がよい気分でリラックスしている状況を作り、話を始めるのがおすすめです。
高齢者の車の代わりとなる移動手段には「福祉タクシー」も
免許返納後の車の代わりとなる移動手段には、電動アシスト自転車やシニアカー、タクシー、オンデマンドバスなど、さまざまなものがあります。中でも福祉タクシーは、高齢者が乗り込みやすい福祉車両を使用しており、免許返納後の高齢者の心強い移動手段です。
ソーシャラスの福祉タクシーは、車椅子にも対応しており、退院時の送迎や日々の買い物、冠婚葬祭など、どのような目的でもご利用になれます。
- 料金:10分900円(運転経歴証明書のご提示で1割引)
- 対応エリア:奥州市内
- 出張料金:弊社事業所より10km未満:無料、10km以上:200円、20km以上:500円
奥州市で免許返納後の車の代わりとなる交通手段をお探しの方は、ソーシャラスの福祉タクシーをぜひご利用ください。お電話やメールフォームからご相談いただければ、実際の運賃を無料見積もりいたします。