離れて暮らす親に介護が必要になったらどうする?親の介護度別に解説
2024年1月20日
親と離れて暮らしていると、今後介護が必要になったときにどうすればよいのかと悩んでいる方も多いでしょう。親との連絡を密にしたり、介護に関する情報を収集したりなど、親が元気なうちから準備できることはたくさんあります。
今回は、「一人で生活できる場合」「介護が必要になった場合」「一人で暮らせなくなった場合」と親の介護度別に、離れて暮らす親をサポートする方法を解説します。離れて暮らしている親の今後についてどうすればよいのかお悩みの方は、ぜひ参考にしてください。
当社・SOCIARAS(ソーシャラス)は岩手県奥州市で見守りサービスや生活支援サービスを提供しています。奥州市に一人暮らしの親御さまがいる方は、お一人で悩まずにぜひ一度お話を聞かせてください。ご相談をお待ちしています。
一人で生活できる場合:見守りサービス
親が要支援・要介護認定を受けておらず、比較的元気に生活できている段階で役に立つのが、万が一の場合に気づける「見守りサービス」です。見守りサービスには、大まかに分けると以下の4種類があります。
- 警備会社による見守りサービス
- 訪問型見守りサービス
- 自治体による見守りサービス
- グッズによる見守りサービス
一つずつ詳しくみていきましょう。
警備会社による見守りサービス
大手の警備会社の中には、高齢者を対象とした見守りサービスを提供しているところがあります。
警備会社の見守りサービスでは、高齢者が非常ボタンを押したり、センサーに一定時間反応がなかったりした場合に、サポートセンターに緊急通報が発信され、スタッフが駆けつけるものが多いです。看護師に電話で健康相談ができたり、家族がアプリで親の生活リズムがわかったりなど、便利な機能が付けられる場合もあります。
警備会社の見守りサービスは、費用が高額になりやすい点はデメリットですが、手厚いサービスが特徴です。
訪問型見守りサービス
訪問型見守りサービスは、スタッフが高齢者宅を訪問し、状況を確認し、家族に報告するサービスです。郵便局や電力会社、介護保険外サービス事業者などが提供しています。また、配食や宅食を行っている会社が、お弁当を届ける際に安否確認を兼ねるサービスもあります。
スタッフが実際に高齢者宅を訪問し、決まった担当者がいる場合もあるため、スタッフと顔なじみになり、楽しくコミュニケーションを取れる点がメリットです。訪問の結果をメールなどで詳細に家族に報告するサービスを選べば、自分は見に行けなくても誰かが代わりに見守ってくれる安心感があります。
自治体による見守りサービス
緊急通報装置を貸し出したり、民間企業と連携したりして見守りサービスを提供している自治体もあります。
例えば、当社・ソーシャラスのある岩手県奥州市には、簡単な操作であんしんセンターに通報できる緊急通報装置を貸し出す事業があります。一人暮らしの高齢者、もしくは高齢者のみの世帯で、急変リスクの高い疾患があり、近隣に緊急連絡先となってくれる協力者がいる方が対象です。
高齢者が緊急通報装置のボタンを押すと、看護師らが常駐しているあんしんセンターにつながり、呼びかけに応答がない場合、看護師は近隣の協力者に連絡します。協力者が高齢者宅に駆けつけ、あんしんセンターは必要に応じて救急車の手配を行います。
(参考:高齢者地域生活サポート事業(緊急通報装置の貸与)/奥州市公式ホームページ)
このような自治体による見守りサービスを利用したいときは、地域包括支援センターや市区町村の介護関係部署にまずは相談してみましょう。
グッズによる見守りサービス
高齢者向けの見守りグッズには、以下のようなさまざまな種類があります。
- ロボット
- 電気ポット
- 人感センサー
- センサー家電
グッズによる見守りは、高齢者が見張られているという感覚にならず自然に見守ることができる点がメリットです。
例えば、冷蔵庫のドアやテレビリモコンなど、生活する上で必ず使う家電にセンサーを後付けし、長時間操作がない場合に家族に通知が届くタイプのグッズがあります。家電の使用状況を感知するだけのセンサーなら、高齢者はいつもどおりの生活を送れるため、抵抗感なく取り付けてくれるでしょう。
見守りグッズに関しては、以下の記事で詳しく解説していますので、ぜひ参考にしてください。
「高齢者の見守りには見守りグッズがおすすめ!各タイプの特徴を紹介」
介護サービスを利用しつつ一人で生活できる場合:遠距離介護
遠距離介護とは、離れて暮らしている子どもが親の元に通い、サポートする介護方法です。
離れて暮らす親が、誰かのサポートがないと一人暮らしが難しい状況になると、呼び寄せたり、自身が地元に引っ越したりして同居しなければならないのでは、と考える子どもさんも多いでしょう。
しかし、2019年の厚生労働省「国民生活基礎調査」によると、主な介護者の13.6%が「別居の家族等」であり、同居せず親の介護をしている人もいることがわかります。
(参考:厚生労働省「2019年 国民生活基礎調査の概況」)
ここでは、遠距離介護のメリットやデメリット、遠距離介護をする上で消耗しないコツを解説します。
遠距離介護のメリット
離れて暮らす親に介護が必要になったときに、同居を選択せず通いで介護する遠距離介護は、以下のような点がメリットです。
- 親と子どもの両方が引っ越さないで済む
- 介護者のストレスが軽減される
離れて暮らす親と同居するためには、親を呼び寄せたり、自身が地元に帰ったりして、親子のどちらかが引っ越さなくてはなりません。遠距離介護は、親は生活環境を変えることなく、子どもは仕事を辞めずに済み、双方の生活を大きく変えなくてもよい点が第一のメリットです。
また、親と同居しての介護だと、生活が介護中心になりやすく、どうしてもストレスを強く感じやすくなります。遠距離では、移動に時間とお金がかかりますが、家に帰れば気持ちの切り替えができ、ストレスが軽減できるでしょう。
遠距離介護のデメリット
遠距離介護には、以下のようなデメリットもあります。
- 緊急時に駆けつけるのが難しい
- 費用負担が大きい
新幹線や飛行機を使うような距離に住んでいる場合、親の体調が急に悪くなったときに駆けつけるのに時間がかかります。
入院が必要になったときや、万が一、事故や事件に巻き込まれたときなどは、親の近くにいる親戚や知人、ケアマネジャーにまずは対応してもらう必要があるかもしれません。日頃から親とまめに連絡を取り、体調の変化を把握しておくこと、親の周りの人々とつながりを作っておくことが重要です。
また、遠距離介護は交通費がかさみやすいこともデメリットの一つです。大手航空会社には「介護割引」があるため、飛行機で親元に通っている方はぜひ活用しましょう。新幹線には介護割引のような制度はありませんが、早割などを利用することで少しでも費用負担を減らすことができます。
遠距離介護で消耗しないコツ
遠距離介護は、親の介護に手がかかるようになり、帰省の頻度が高くなればなるほど体力的にも金銭的にも消耗してしまいます。遠距離介護で疲れないためには、以下のポイントを意識してみてください。
- 介護に関する制度・サービスの情報を収集する
- 親との連絡を密にする
- 専門職や介護保険・介護保険外サービスを頼る
- 介護資金は親のお金を使う
親の介護が始まったら、まずは利用できる公的な制度や民間サービスを徹底的に調べましょう。介護保険サービスや自治体が独自に行うサービスはもちろん、民間の事業者が提供している介護保険外サービスも使い勝手がよくぜひ活用したいものです。
また、遠距離介護では親に頻繁に連絡し、ささいなことでも様子を聞いておくと、いざというときの体調の変化にもいち早く気づけます。さらに、「最近同じ話ばかりするようになった」などの異変を察知して、認知症の兆候にも素早く気づけるでしょう。
介護は一人で抱え込むと精神的・体力的にも辛くなってしまいます。遠距離介護は、常に親のそばにいられるわけではないため、親の地元でサポートしてくれる専門職であるケアマネジャーとも連絡を密にし、頼ることが重要です。
介護保険ではカバーしきれない困りごとは、介護保険外サービスを頼るのも一つの方法です。「○○市 介護保険外サービス」「○○市 自費サービス」などのワードで検索して、地域密着の介護保険外サービス事業者を見つけ、相談してみましょう。
最後に、介護はどうしても費用がかかり、遠距離の場合はさらに交通費も大きな負担となります。介護費用については、あらかじめ親やきょうだいと話し合い、「親のお金を使う」と決めておくと、子どもの金銭的負担を軽減できます。
ほかにも、連絡するときはLINEを利用して電話代を節約する、家をリフォームする際は自治体の補助金を確認してから行うなど、利用できるものは積極的に活用して費用負担を軽減させましょう。
一人で暮らせなくなった場合:呼び寄せ・施設入居
親の介護度が進行し、認知症を発症するなどして一人暮らしができなくなったら、呼び寄せ同居や施設への入居を考える段階です。
呼び寄せや施設への入居を決断するタイミング
離れて暮らす親を呼び寄せたり、施設へ入居させたりするタイミングは、介護度でいうと一般的に「要介護3以上」といわれています。具体的には、以下のような状況になったら、在宅での生活に限界が来ていると考えられます。
- 一人でトイレに行けなくなったとき
- 火の始末ができなくなったとき
- 介護者が遠距離介護に限界を感じたとき
このような状況になってから、施設を探しても順番待ちが発生していてすぐには入居できない可能性があります。そのため、親が比較的元気なうちから、「一人暮らしができなくなったらどうするか」を家族で話し合っておきましょう。
親が一人で暮らせなくなったときには、具体的には以下の2つの方法が考えられます。
- 方法1:呼び寄せて同居する
- 方法2:子どもが住んで着る地域の施設に入居する
一つずつ詳しくみていきましょう。
方法1:呼び寄せて同居する
親を呼び寄せて同居する場合、デイサービスや訪問介護を利用しながら、在宅で介護をすることになります。
在宅介護は、そばで親の面倒を見られますが、生活が大きく変わり介護者や家族の大きなストレスになる場合も考えられます。親のほうも、住み慣れた地域を離れ、子どもたちしか頼れる人がいなくなり、塞ぎ込んでしまうおそれもあるでしょう。
このように、呼び寄せ同居は介護者や親の負担が大きいため、親が元気なうちから希望を聞いておくことをおすすめします。
方法2:子どもが住んでいる地域の施設に入居する
施設への入居を考えるとき、呼び寄せて子どもが住んでいる地域の施設にするか、親の地元の施設にするかで悩む方も多いでしょう。
施設に入居するなら、面会や緊急呼び出しにすぐ行けることから、親の地元ではなく子どもが住んでいる地域の施設を選ぶことがおすすめです。
施設に入居しても、病気やけがで入院が必要になったときは家族の同意が必要になります。面会に通うことを考えても、施設に入るのなら親の地元にこだわらず、子どもが通いやすい施設にしたほうが合理的といえるでしょう。
親の介護に備えて元気なうちからできること
遠距離介護や施設への入居が必要になったときのために、親が元気なうちから、以下のようなことを実践しておきましょう。
- コミュニケーションを積極的に取る
- 兄弟姉妹で役割分担を決める
- 介護費用について相談する
- 地域包括支援センターに相談する
- 職場の介護休暇や介護休業の制度を確認する
それぞれ詳しく解説します。
コミュニケーションを積極的に取る
親だけでなく、親戚や友人、ご近所さんなどの親の周囲の人々とも、日頃からコミュニケーションを取ることをおすすめします。帰省した際に、お土産を手渡しがてらお礼を伝えたり、親の普段の様子を聞いたりしてみましょう。
また、親には将来どのように介護されたいかを聞いておくと、子どもが何らかの選択に迫られたときに、親の希望に沿った選択ができます。毎日や数日に1回、時間を決めて電話をかけたり、きょうだいも集まって今後について話し合う機会を設けたりして、積極的にコミュニケーションを取っていきましょう。
兄弟姉妹で役割分担を決める
介護の役割分担は、きょうだいの中で誰か一人に集中してはいけません。仕事があり平日は都合が付かない人は休日の担当になる、海外在住などで直接介護ができない人は資金援助するなど、皆何らかの形で介護に関わることができます。
親が元気なうちに、きょうだいで集まって役割分担を決めておくと安心です。その際は、ケアマネジャーや介護サービス事業者の担当者と連絡を取り合う代表者を一人決めておくと連絡がスムーズに取れるでしょう。
介護費用について相談する
前述しましたが、介護費用は原則として親のお金を使うと決めておくと、子どもの金銭的負担を減らせます。親の年金収入や預貯金などの資産、生命保険の加入状況、実印や通帳の保管場所などを把握しておきましょう。
事前に使えるお金がわかっていれば、心配事が減り、きょうだい間での金銭トラブルを避ける有効な手段となります。
地域包括支援センターに相談する
地域包括支援センターとは、市区町村が設置している高齢者の支援窓口です。要介護申請の窓口でもあるため、親が元気なうちから早めに相談しておくとよいでしょう。
特に遠距離介護の場合は、親の地元に相談できる人がいることが安心につながります。ケアマネジャーに相談し、遠距離介護をしている旨を伝えておきましょう。
職場の介護休暇や介護休業の制度を確認する
「介護休暇」や「介護休業制度」は要介護状態の家族を介護するために休みを取得できる制度で、労働者の権利の一つです。いざというときに介護休暇や介護休業を取得できるように、務めている会社の制度を確認しておきましょう。
介護休暇や介護休業中の賃金については法的な定めがなく、無給になる場合があります。しかし、条件を満たせば雇用保険から「介護休業給付金」を受け取ることもできるため、給付金についてもしっかりチェックしておくことがおすすめです。
離れて暮らす親の介護は、元気なうちから準備しておこう
離れて暮らす親が比較的元気なうちは、見守りサービスを活用し、万が一の場合に備えることが重要です。
要介護認定を受けるなどで介護の手が必要になっても、離れて暮らしながら通いで介護する遠距離介護という方法もあります。遠距離介護は体力的・精神的に消耗してしまいやすいため、ケアマネジャーや介護事業者など周囲のサポートを得られるようにしましょう。
当社・ソーシャラスは岩手県奥州市で訪問型見守りサービスや10分ワンコインの生活支援サービスを提供しています。
ソーシャラスの訪問型見守りサービスは、高齢者宅を訪問して、食事がきちんと取れているか、薬を服用できているか、何か困ったことはないかなど、親御さまの様子を確認し、メールで詳細に報告します。
- 料金:1回2,000円
- 時間:30分~1時間
- 訪問頻度:ご相談(毎日、3日に1回、週1回、月1回など)
- 訪問エリア:奥州市内
- 出張料金:当社事業所より10km未満無料、10km以上200円、20km以上500円
奥州市で一人暮らしをしている親御さまがいる方、遠距離介護の一環として見守りサービスを探している方は、ぜひお気軽にご相談ください。