ランキングからみる「高齢者が困っていること」は?サポート方法も解説
2024年1月19日
「何か困っていることはない?」と聞いても、家族のことを気遣って「何もないよ」と答える親御さまも多いかもしれません。親と離れて暮らしていたり、親が悩みを口にしないタイプだったりすると、なかなか困りごとに気づけない場合があります。
今回は、高齢者が難しいと感じる活動や日常生活での困りごと、困りごとを抱えた高齢者をサポートする方法を紹介します。高齢の親の生活をサポートしたいけれど、何ができるかわからないというご家族の方は、ぜひ参考にしてください。
当社・SOCIARAS(ソーシャラス)は、岩手県奥州市で介護保険外(自費)サービスを提供し、高齢者や障害のある方の生活をサポートしています。高齢の親御さまが奥州市にいる市外在住の方も、一度お気軽にご相談ください。
高齢者が特に難しいと感じる活動
内閣府は高齢社会対策に役立てるため、就業や健康、福祉などの観点から、毎年高齢者に関する調査をしています。
平成29年の「高齢者の健康に関する調査」では、高齢者が特に難しいと感じる活動についての質問があり、以下のような結果となりました。
(画像引用:内閣府「平成29年高齢者の健康に関する調査(全体版)」)
「少し重い物を持ち上げたり、運んだりする」「立ったり座ったりする」「階段を1階上までのぼる」「数百メートルくらい歩く」など、上位を占めているのは移動に関する動作です。足腰に不調を抱えた高齢者は、家の中を少し移動することも難しいと感じていることがわかります。
また、「夜にぐっすり眠る」「家事(家や庭のそうじ、料理)」「お風呂に入ったり、着替えたりする」など、毎日の生活に欠かせない動作に支障がある高齢者も一定数います。
しかし、この調査で最も多い62.1%を占める回答が「難しいと感じることはない」であることから、日常生活で難しいと感じる動作がない、元気な高齢者も多いようです。
高齢者の日常生活での困りごとランキング
内閣府の調査とは別に、高齢者の日常生活での困りごとを調べたランキングがあります。
ニッセイ基礎研究所の「一般高齢者の日常生活における困りごと・ニーズランキング」は、市町村が一般の高齢者を対象に実施している「介護予防・日常生活圏域ニーズ調査」と、要介護認定者が対象の「在宅介護実態調査」に着目し、集計したランキングです。
一般高齢者の日常生活における困りごと・ニーズランキング(道府県都・政令市編)によると、高齢者の困りごとランキングの1位~10位は、以下のとおりです。
- 1位:送迎、公共交通の充実
- 2位:買い物、移動販売、薬の受け取り
- 3位:家の改修・修繕、模様替え、その費用補助
- 4位:話し相手、友人関係、通いの場など交流の場の充実
- 5位:調理
- 6位:見守り、安否確認、声掛け
- 7位:掃除
- 8位:配食、弁当配達
- 9位:居住系介護サービスの充実
- 10位:困りごとの相談窓口
(引用:ニッセイ基礎研究所「高齢者の生活ニーズのランキング首位は移動サービス(道府県都・政令市編)~市町村の「介護予防・日常生活圏域ニーズ調査」「在宅介護実態調査」集計結果より~」
一つずつ詳しくみていきましょう。
1位:送迎、公共交通の充実
外出や移動は、高齢者にとって大きな課題です。高齢者ドライバーが引き起こした事故のニュースが報道される度、免許返納が話題になりますが、令和4年度で免許を返納した人の年齢は、70~74歳が全体の26.9%で最多でした。
特に公共交通機関が発達した都市部とは異なり、郊外は自家用車が運転できないと買い物や通院にも不便であるため、困りごとランキングの1位が「送迎、公共交通の充実」であるのもうなずけます。
実際に、ニッセイ基礎研究所の「一般高齢者の日常生活における困りごと・ニーズランキング」の東京23区版では、「送迎、公共交通の充実」は5位となっています。電車やバスが張り巡らされている都市部では、外出や移動について困っている高齢者が少ないようです。
2位:買い物、移動販売、薬の受け取り
2位は「買い物、移動販売、薬の受け取り」であり、生活必需品をどのように確保するかが問題となっています。スーパーやドラッグストアでの買い物は日常生活を送るために不可欠ですが、自家用車を運転できなくなると、店まで行って帰ること、重い荷物を持つことが難しくなります。
注文すれば品物を家まで届けてくれるネットスーパーが台頭していますが、スマホをうまく操作できない高齢者も多いため、高齢者には近所まで来てくれる移動販売車や買い物代行などのサービスが必要です。
3位:家の改修・修繕、模様替え、その費用補助
3位は「家の改修・修繕、模様替え、その費用補助」であり、足が不自由になるなどしてリフォームが必要になる高齢者が多いことがうかがえます。足を上げにくくなったり、躓きやすくなったりすると、手すりや段差の解消など、バリアフリー工事が必要になるでしょう。
要支援・要介護認定を受けた方は、介護保険の範囲内で「住宅改修(介護リフォーム)」に補助金が出るため、ぜひ活用したいところです。しかし裏を返せば、要支援・要介護認定を受けていない高齢者は、自宅をリフォームしても補助を受けることは難しいため注意しましょう。
また、重いタンスを運んだり、脚立に乗って電球を取り替えたりなど、体を使う模様替えも高齢者には難しいです。このような生活のちょっとした困りごとを解消するため、高齢者向けの生活支援サービスや便利屋などを利用する高齢者も多くいます。
4位:話し相手、友人関係、通いの場など交流の場の充実
仕事を退職した後、趣味のサークルなどにも入らず、ずっと家にいるという高齢者は少なくありません。家に閉じこもり、家族以外と話さない状況が続くと、社会とのつながりが薄くなったと感じ、気力が低下してしまうおそれがあります。
体操サークルやボランティア活動に参加したり、友人と喫茶店でおしゃべりしたりなど、自宅以外の居心地のよい居場所を作ることで心身への刺激になり、認知症やうつ病の予防につながります。
5位:調理
日々の食事の用意には、体力や気力が必要であり、高齢者にとっては重荷になりやすい家事です。
また、今まで妻に調理を任せきりだった夫が妻に先立たれ、出来合いの惣菜やカップラーメンなどで済ませてしまう、あるいは、夫に先立たれた妻が一人分の食事を作る気力がわかないなど、一人暮らしになり食事がおろそかになるケースが考えられます。
3食しっかり作ることが負担になっている場合は、昼食は宅配弁当を注文するなども一つの方法です。
6位:見守り、安否確認、声掛け
普段は元気にしていても、心臓などに病気を抱えており、突然倒れてしまったらどうしようと心配している高齢者は多いです。特に、一人暮らしの高齢者が倒れてしまうと、発見が遅れて一大事になることも考えられます。
高齢者の見守りサービスは、自治体や警備会社、介護業者などが以下のようなさまざまな方法で提供しています。
- ペンダント型のボタンを押すと警備会社に通報できるもの
- センサー付きの家電を一定時間使わないと家族に通知されるもの
- スタッフが定期的に訪問し家族に報告するもの
比較的元気な高齢者には、グッズによる見守りが見られているという負担が少なくおすすめです。以下の記事で見守りグッズについて詳しく解説していますので、ぜひ参考にしてください。
「高齢者の見守りには見守りグッズがおすすめ!各タイプの特徴を紹介」
7位:掃除
足や腰が悪くなり、かがみ込む動作が辛くなると、掃除のハードルも高くなります。リビングの掃除で手一杯になり、トイレや浴室、キッチンなどの水回りまでしっかり掃除できないという高齢者も少なくありません。
要支援・要介護認定を受けている場合は、日常生活を送る上で必要最低限な範囲(主に使用する部屋やトイレ、浴室、台所など)は、生活援助でヘルパーによる掃除サービスを受けられます。
換気扇や窓拭きなど、必要最低限以外の掃除は介護保険サービスの範囲外であるため、民間の介護保険外(自費)サービスを利用しましょう。
8位:配食、弁当配達
2位に買い物、5位に調理が入っているように、高齢者にとって食事の準備が負担になっていることがわかります。
配食や弁当配達は、食事の用意が難しい高齢者に昼食や夕食の弁当を配達してくれるサービスです。さまざまな民間企業や一部の自治体が配食サービスを提供しています。
配食や弁当配達は、届けるときに見守りを兼ねているサービスもあり、緊急時はあらかじめ登録された電話番号に連絡が入るタイプのものを選ぶと、離れて暮らしていても安心です。
9位:居住系介護サービスの充実
居住系サービスとは、施設系サービス以外の介護施設に入居して介護を受けることを指します。介護施設にはさまざまな種類がありますが、以下のように居住系サービスと施設系サービスに分けられます。
居住系サービス | 施設系サービス |
有料老人ホーム サービス付き高齢者向け住宅(サ高住) ケアハウス(軽費老人ホーム) | 特別養護老人ホーム(特養) 介護老人保健施設(老健) 介護療養型医療施設(介護医療院) |
施設系サービスは、特別養護老人ホームは要介護3以上、介護老人保健施設と介護療養型医療施設は要介護1以上というように、要介護認定を受けていないと入居できません。要介護認定を受けていなくても入れる有料老人ホームやサ高住などの充実が望まれているようです。
10位:困りごとの相談窓口
高齢者の困りごとは、市区町村に設置されている「地域包括支援センター」が一般的な相談窓口です。地域包括支援センターには、以下のような専門職が在籍しており、高齢者やその家族が生活に関わることを広く相談できます。
- 保健師
- 看護師
- 社会福祉士
- 主任ケアマネジャー
高齢者自身が相談に出向くのに、地域包括支援センターのような公的な場所はハードルが高いと感じられるのかもしれません。
そのような場合は、近所の民生委員を頼ってみることをおすすめします。民生委員は、地域住民の身近な相談相手として、住民と行政をつなぐパイプ役を担っています。近所に民生委員と知り合いの方がいないか、いたら紹介してもらえるように頼んでみましょう。
高齢者の困りごとと深く関係する「QOL」
QOL(Quality of Life)とは、生活の質と訳され、「その人らしく充実した生活を送る」という意味で使われる言葉です。QOLは、「身体的・精神的な健康状態」「生活機能」「社会性」の3つの要素が影響し合っています。
たとえば、Aさんは体に痛いところもなく、日常生活の家事をすべて自分でこなせています。しかし、最近夫や友人を相次いで亡くし、親しく話せる人がいなくなり地域で孤立しているとしたら、AさんのQOLは低下しています。
高齢者のQOLを高めるためには、以下のことが重要です。
- 規則正しい生活を送る
- しっかり食べる
- 適度な運動を続ける
- ストレスや疲れを溜めない
- 楽しみを増やす
- 他者とのコミュニケーションを増やす
まずは身体的に健康になるために、十分な睡眠や栄養バランスの取れた食事、適度な運動が必要不可欠です。そして精神面での健康を保つため、趣味や楽しみ、他者とのコミュニケーションを増やし、ストレスをためないようにしましょう。
多くの地域では、公民館や集会所で高齢者を対象にした催しが開催されています。また、何か新しい習い事を始めるなどして、勇気を出して交流の場へ出かけると知り合いができてコミュニケーションの機会が増えるでしょう。
困りごとを抱える高齢者をサポートする方法
困りごとは高齢者本人や家族だけで抱えず、外部にサポートを求めることも必要です。高齢者も家族もストレスなく生活できるように、以下のような民間・公的サービスをうまく活用しましょう。
- 見守りサービス
- 生活支援サービス
- 介護保険サービス
それぞれ詳しく解説します。
見守りサービス
見守りや安否確認は、前述の「困りごと・ニーズランキング」の6位に入るほど、高齢者自身も望んでいることです。
見守りサービスはさまざまな企業がサービスを提供しており、警備会社の見守りサービスでは、異常が感知されると緊急通報が発信され、スタッフが駆けつけるものがあります。
また、定期的に高齢者宅を訪問し、離れて暮らす家族に様子を伝える「訪問型見守りサービス」も人気です。
当社・ソーシャラスは、岩手県奥州市で訪問型見守りサービスを提供しています。「どんなものを食べているのか」「薬をきちんと服用できているのか」など、親御さまの生活で気になることを、ヘルパー資格を持つスタッフが訪問して確認、ご報告します。
訪問型見守りサービスについて詳しくは、こちらのページをご覧ください。
生活支援サービス
生活支援サービスとは、高齢者の生活を支援し、日常のちょっとした困りごとを解決する介護保険外(自費)サービスです。
介護保険サービスは要支援・要介護認定を受けた人が、1~3割の自己負担で利用できるものですが、サービスの内容は介護保険制度でしっかりと決められています。
対して、介護保険外サービスは料金が全額自己負担ですが、「庭の草むしりをお願いしたい」「階段の電球を取り替えてほしい」など、高齢者が困っていることを制度に縛られずにサポートできます。
ソーシャラスは「10分ワンコイン生活支援サービス」として、以下のようなメニューで生活のさまざまな困りごとをお助けしています。
介護保険外サービスで気になるのは料金ですが、ソーシャラスの生活支援サービスはわかりやすくリーズナブルな「10分500円」の時間制です。(サービスの提供は20分1,000円からでお願いしております)
生活支援サービスについて詳しくは、こちらのページもご覧ください。
介護保険サービス
見守りサービスや生活支援サービスは、ある程度自立して生活できる高齢者を対象としています。
一方、要支援・要介護認定を受けた方は、訪問介護やデイサービスなどの介護保険サービスを1~3割の自己負担で利用できます。日常生活を一人で行うのが困難で、誰かの助けが必要な状態であれば、まず市区町村に設置された地域包括支援センターに相談しましょう。
要介護認定の申請後、聞き取り調査などが行われ、介護度が決定します。介護度に合わせてケアプランが作成され、介護保険サービスを受けられます。
ソーシャラスの生活支援サービスで高齢者の困りごとを解消!
高齢者が日常で困っているのは、送迎や買い物、家の改修など多岐にわたります。特に郊外では、免許を返納した方が、通院や買い物などで外出しなければならないときに困ることが多いようです。また、料理や掃除などの家事についても、歳を重ね体力がなくなったり、膝や腰を痛めたりすると難しくなります。
当社は、高齢者の方がすべてを自分でこなそうとして無理するのではなく、任せられるところは生活支援サービスなどをうまく使って、快適に暮らしてほしいとの想いでサービスを提供しています。
ソーシャラスの生活支援サービスは、日常生活の困りごとを解消するさまざまなメニューを、10分ワンコイン(500円)で解決する介護保険外(自費)サービスです。
奥州市で暮らしている高齢の親御さまの生活をサポートしたいご家族の方は、市外からもぜひお気軽にご相談ください。