高齢者がスマホを使えない理由とは?スマホ活用のメリットやサポート方法を解説
2024年1月13日
「高齢の親との連絡手段としてスマホを購入したけれど、あまり使ってくれない」と悩んでいる方も多いのではないでしょうか。
デジタル機器になじみがない高齢者は、「自分はスマホを使えない」と思い込んでいるかもしれません。しかし、周囲がスマホの使い方を教えたり、使いやすいように設定してあげたりすることで、高齢者でもスマホを便利に使えるようになります。
今回は、高齢者にスマホを活用してもらうために、高齢者がスマホを使えない理由と、それを踏まえたサポート方法を解説します。高齢の親御さまに、スマホを活用してもらいたいと考えている方はぜひ参考にしてください。
なお、この記事は岩手県奥州市で介護保険外サービスを提供しているSOCIARAS(ソーシャラス)が解説します。ソーシャラスの生活支援サービスでは、スマホやWi-Fiなどの初期設定を行っていますので、ぜひお気軽にご相談ください。
高齢者のスマホ普及率・利用率
総務省の調査によると、60~69歳では83.2%、70~79歳では60.6%、80歳以上では27.3%の人がスマホを保有しています。
(参照:総務省「令和4年通信利用動向調査」)
また総務省はスマホの利用状況も調査しており、スマホやタブレットを「よく利用している」「ときどき利用している」と答えた人は、60~69歳で73.4%、70歳以上で40.8%です。
(参照:総務省「令和3年版 情報通信白書」)
同じ調査ではないため、単純に比較はできませんが、70代では約60%の人がスマホを保有しているのに対し、利用していると答えた人は約40%に留まっています。スマホを持ってはいるけれど、うまく使えていないという人が一定数いると推測されます。
高齢者がスマホを使えない理由
「スマホは若者のもので、年寄りには使いこなせない」と思い込んでいる高齢者も多いかもしれません。高齢者がスマホを使えない理由には、主に以下の5つが挙げられます。
- 操作が難しい
- 用語が分からない
- IDやパスワードを管理できない
- リスクを過度に警戒している
- 使う頻度が低く慣れない
スマホを使えない理由がわかれば、一つずつ解決していけば使えるようになります。ここでは、高齢者がスマホを使えない理由とその解決方法を、詳しくみていきましょう。
操作が難しい
高齢者にとって、慣れないタッチパネル式のスマホをタップしたり、スワイプしたりすることは難しく、戸惑う人が多いです。
スマホは、ガラケーと異なり、物理ボタンが少なく、ほとんどの操作をタッチパネルで行います。タップの感覚がつかめず、ぐっと押し込んだり、長押ししたりすると、スマホが予期せぬ挙動をして面食らってしまうこともあるでしょう。
また、高齢になると指先が乾燥しやすく、スマホが操作を感知してくれない場合もあります。うまく操作できない場合は、タッチペンを利用するのも一つの方法です。
さらに、文字を入力するときの「フリック入力」も、つまずきやすいポイントです。フリック入力がうまくできない場合は、ガラケーと同じ感覚でキーを連打して文字入力するモードに設定したり、音声入力を使ったりすることで抵抗感なく文字入力ができるでしょう。
用語が分からない
高齢者にとって、「アプリ」「ダウンロード」「OS」「アカウント」などのカタカナ言葉は理解が難しく、拒否反応を示す人もいます。「ここをタップして」「このアプリをダウンロードしてアカウントを作るね」など、専門用語を使って説明されても、理解が追いつきません。
専門用語が理解の妨げになっている場合は、用語をやさしい言葉でわかりやすく言い換えるのがおすすめです。
タップは「ポンッと触る」、アカウントは「サービスを利用するときに必要な名前や口座番号のようなもの」というように、擬音を使ったり、すでにある概念に例えたりして説明しましょう。
IDやパスワードを管理できない
スマホを使っていると、アプリやサービスごとにIDとパスワードを設定しなければならず、高齢者でなくとも管理が大変です。また、IDやパスワードを忘れてしまったときの再設定の対応も、高齢者にとっては難しいものです。
しかし、管理しやすいからといって、一つのパスワードを複数のアカウントで使い回すことはおすすめできません。各アプリで異なったパスワードを設定し、スマホのパスワードを覚える機能を積極的に活用しましょう。
また、アナログな方法ですが、ノートに「AmazonのID:○○、パスワード:●●」などと書き残しておくと、困ったときに重宝します。
ただし、パスワードをノートに書いて管理する場合は、第三者に見られないよう、きちんと保管するように伝えてください。
リスクを過度に警戒している
スマホの操作を誤って詐欺に遭ったり、ウイルスに感染したりすることを恐れて、スマホを過度に警戒してしまう高齢者も多いでしょう。
詐欺予防には、以下のようなアドバイスが効果的です。
- 身に覚えのないメールは開かない
- むやみにアプリをダウンロードしない
- 簡単に個人情報を入力しない
ウイルス対策には、スマホ用のセキュリティソフトを導入しましょう。
また、スマホのアプリは無料で使えるものが多いですが、高齢者の中には「アプリ=すべて有料」と思い込んでいる人もいます。
無料でも便利に使えるアプリがあること、そのようなアプリは広告表示で稼いでいるため無料で使えると教えてあげると、さらにスマホを安心して使えるようになるでしょう。
めったに使わないため慣れない
一度覚えたつもりの操作でも、間隔が空くと忘れてしまうのは高齢者に限ったことではありません。
スマホに恐怖心を持つ高齢者の場合は、めったに使わないために操作を覚えられず、いざ使おうとしても操作方法がわからず自信をなくし、さらにスマホから遠ざかるという悪循環が生まれます。
スマホを使えるようになるためには、まず触ってみることが重要です。高齢者にスマホに慣れてもらうためのコツは、下記の「高齢者のスマホ活用をサポートする方法」で解説しています。
高齢者がスマホを使うことによるメリット
現代の生活はスマホなしでは考えられないほど、生活のさまざまな場面でスマホが活躍しています。高齢者においても、スマホを使えると以下のようなメリットがあります。
- 離れて暮らす家族とコミュニケーションが取れる
- 生活が便利になる
- GPSで見守りができる
一つずつ詳しくみていきましょう。
離れて暮らす家族とコミュニケーションが取れる
LINEや電話、メールなど、スマホはさまざまな手段でコミュニケーションに役立ちます。LINEであれば、ビデオ通話や音声通話が無料で利用できます。メッセージには既読機能があるため、返事はなくても読んだことがわかり便利です。
さらに、スマホは写真や動画を気軽に共有できるため、離れて暮らす孫たちを身近に感じられる点もメリットです。
生活が便利になる
スマホは連絡手段だけでなく、調べ物や買い物ができたり、ラジオや音楽が聴けたりして、活用できると生活が便利になります。
また、高齢になり免許を返納した場合に、スマホを使うことができればネットスーパーを利用でき、買い物に困ることがなくなるでしょう。
さらに、スマホのアプリにはさまざまなジャンルのものがあり、ふとしたきっかけから新しい趣味が見つかる可能性もあります。SNSを利用できたら、新しく交友関係が広がるかもしれません。
GPSで見守りができる
スマホにはGPS機能があり、見守りアプリをインストールすれば、簡単に居場所を確認できます。見守りアプリは、認知機能が低下してきている方や、山登りが趣味の方など、どこにいるのか把握したいときに便利です。
見守りアプリの中には、スマホのロック解除や充電の記録を自動的にお知らせしてくれるものもあり、用途に合わせて選べます。持病を抱えた高齢者の場合は、万が一の場合に緊急発信ができるものを選ぶとよいでしょう。
高齢者がスマホを使う際の注意点
高齢者がスマホを活用できるとさまざまなメリットがありますが、注意すべきポイントもあります。高齢者がスマホを使うときの注意点は、主に以下の3点です。
- 詐欺
- 通販トラブル
- 操作ミスによる高額な通話料
一つずつ詳しく解説します。
詐欺
スマホを利用すると、フィッシング詐欺やワンクリック詐欺などの「ネット詐欺」の被害に遭うおそれがあります。
ネット詐欺の手口は巧妙であり、高齢者でなくても被害に遭うため、インターネットに慣れていない高齢者は特に注意が必要です。
ネット詐欺の中でも、フィッシング詐欺は、ショートメッセージやメールで配送業者や金融機関、国税庁などを騙り、個人情報を入力するよう要求するものです。フィッシング詐欺に遭わないためには、スマホを使い始める高齢者に以下のことを説明しておきましょう。
- 家族や友人以外からのメールは開かない
- 怪しいメールに記載されたURLはタップしない
- 信頼できるサイト以外に、名前やカード番号などは絶対に入力しない
また、怪しいと感じたらすぐに相談できるように、スマホに関することで親になるべくイライラせず、相談しやすい雰囲気を作っておくことも重要です。
通販トラブル
ネットショッピングでは、以下のようなトラブルに遭う可能性を考えておかねばなりません。
- 商品が届かない
- 注文したものとは異なる商品が届く
- 間違えて定期購入に申し込んでしまった
有名な通販サイトによく似た偽サイトで買い物すると、商品が届かなかったり、カード番号を抜き取られたりしてしまいます。偽サイトは本物と見極めが難しいため、たとえ安くても一旦待って家族に相談するように伝えておきましょう。
また、ネットショッピングでは初回のみ特別料金で安く購入でき、その後は通常料金で定期的に購入しなければならない方式のショップもあります。定期購入を解約できずに、化粧品や健康食品が家に山積みになり多額の料金を請求されるおそれもあるため、親の失敗を責めることなく、困ったらすぐに相談できるような関係を作っておきましょう。
操作ミスによる高額な通話料
スマホの操作に慣れていない高齢者同士で通話するときは、切り忘れによる高額な通話料に注意が必要です。
どちらかが「切」ボタンをタップして電話を切ればよいのですが、お互いに電話を切らずつながったままだと、通話料金がどんどん加算されていきます。このようなミスを防ぐためには、「電話が終わったら、必ずこのボタンを押してね」と、最初に画面を見せながら説明しておきましょう。
高齢者のスマホ活用をサポートする方法
高齢者がスマホを活用できるようにサポートするためには、以下のようなポイントが重要です。
- 本人が使いやすいスマホ・家族と同じOSのスマホを選ぶ
- 毎日触って苦手意識をなくす
- ログインは生体認証でできるように設定しておく
- 家族が根気強く教える
- サポート体制が充実したキャリアを選ぶ
一つずつポイントを解説します。
本人が使いやすいスマホ・家族と同じ機種のスマホを選ぶ
スマホを選ぶ際は、サイズや重さなどを確認するため、ショップで必ず手に取って触ってみましょう。
また、高齢者はやはり「シニア向けスマホ」にするべきなのかと考える方は多いですが、シニア向けスマホにこだわる必要はありません。シニア向けスマホは物理ボタンを押すだけで電話がかけられるなど、便利な機能が搭載されていますが、中には一般的なスマホと操作方法が大きく異なるものがあり、家族でも操作方法がよくわからない事態になる場合があります。
高齢者のスマホ選びでおすすめなのは、家族が使っているものと機種やOSをそろえることです。自分がiPhoneを使っているなら、親のスマホもiPhoneにすると使い方を詳しく教えられるでしょう。
毎日触って苦手意識をなくす
スマホへの恐怖心をなくすためには、触る機会を増やすことが重要です。以下のような習慣をつけると、自然と毎日スマホを使うようになり、操作に慣れることができます。
- 通話する
- LINEでメッセージをやりとりする
- 天気予報を確認する
- ニュースを見る
- メモアプリで日記をつける
高齢者がスマホ操作に慣れないうちは、家族から積極的にメッセージを送りスマホに触れる機会を作ってあげましょう。
ログインは生体認証でできるように設定しておく
スマホを購入したら、本体のロック解除が生体認証でできる設定になっているか確認します。加えて、本体のパスコードは特に大事なものであるため、本人が忘れても確認できるようにノートにメモし、安全な場所にしまっておくことをおすすめします。
また、アプリやサービスごとにパスワードを覚えたり入力したりするのも骨が折れるため、生体認証が使えるアプリはそのように設定しておきましょう。
家族が根気強く教える
高齢になると、記憶力が低下するなどの要因で、新しいことを覚えるのが難しくなります。何度も同じことを聞かれるとイライラしてしまいますが、「スマホを覚えてくれれば連絡がとりやすくなる」「親の生活が便利になる」などのメリットを考えて、根気強く教えることを心がけましょう。
大事なのは、「スマホを使える」ことを目的とするのではなく、「スマホを使って○○ができる」という具体的な目的を意識することです。孫とやりとりする、YouTubeでお気に入りの曲を聴くなど、親のライフスタイルにあわせて、スマホを使う目的を一緒に考えてみてください。
サポート体制が充実したキャリアを選ぶ
家族が離れて暮らしている場合、一緒に画面を見たり、触ったりして教える機会を持てない場合があります。そのような場合に役立つのが、携帯ショップの店頭サポートです。店頭でサポートを受け付けていて、家から近いところに店舗があるキャリアを選ぶとよいでしょう。
サポートを受けるには使用料とは別に料金がかかる場合が多いです。しかし、スマホを遠隔操作してくれたり、出張サポートを受けられたりするキャリアもあるため、家族が教えられる環境でない場合に役立ちます。
高齢者がスマホを使えると、離れて暮らす家族も安心!
デジタルになじみがない高齢者にとって、スマホの操作や用語は難しく感じられます。詐欺や誤操作を過度に警戒し、スマホに触る機会が少ないとなかなか操作を覚えられず、ずっと怖いままという悪循環に陥ります。
高齢者にスマホを活用してもらうためには、使いやすいように設定したり、根気強く教えたりなどのサポートが重要です。
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