福祉タクシーと介護タクシーの違いを7つのポイントから解説
2023年9月19日
「高齢の親が通院するときに送迎してくれるサービスはないかな」
「福祉タクシーって聞いたことがあるけれど、介護タクシーとはどう違うんだろう」
離れて住んでいる高齢の親御さまがいると、日々の通院や買い物などの外出を安全にできているのか気になる方も多いでしょう。
高齢者が利用できるタクシーには、一般のタクシー以外に福祉タクシーや介護タクシーがありますが、それぞれの違いが分かりにくいため混同しやすいサービスです。
今回は、福祉タクシーと介護タクシー(介護保険タクシー)の違いを7つの観点から紹介します。
どのような方に福祉タクシーや介護保険タクシーをおすすめできるのかについても解説しますので、福祉タクシーの利用を検討されている方はぜひ参考にしてください。
なお、この記事は奥州市で福祉タクシー事業や見守りサービスを行っているSOCIARAS(ソーシャラス)が解説します。
奥州市で暮らしている親御さまが使える交通手段がなくて困っている方、一般のタクシーでは乗り降りしづらい方は、ぜひお気軽にSOCIARASまでご相談ください。
福祉タクシーや介護タクシーに明確な定義はない
福祉タクシーとは、体が不自由な方やケガをしている方、高齢者など一般のタクシーに乗るのが難しい方が利用できるタクシーです。
一般的に福祉タクシーと呼ばれているサービスの正式な名称は、「一般乗用旅客自動車運送事業(福祉輸送事業限定)」です。
しかし、福祉タクシーは法律で明確に定義されているものではないため、各事業者により利用にあたってのルールが異なります。
福祉タクシーを理解しやすいように、まず「介護タクシー」について先にみていきましょう。
介護タクシーとは介護が必要な高齢者が利用できるタクシーですが、介護保険が適用されるものと適用されないものの2種類があります。
介護保険が適用されるものを、特に「介護保険タクシー」と呼んで区別することが多いため、この記事でも介護保険タクシーと記載します。
介護保険タクシー・介護タクシー・福祉タクシーと高齢者向けのタクシーは3種類あるように思われますが、以下のように介護保険が適用されるかどうかで分けられます。
介護保険タクシー | 介護タクシー | 福祉タクシー |
介護保険適用 | 介護保険適用外 |
介護保険が適用されない介護タクシーは、福祉タクシーとほぼ同じ使われ方をしているため、呼び方が違うだけでほぼ同じものと考えてよいでしょう。
福祉タクシー(介護タクシー)と介護保険タクシーの違いをまとめると、以下のようになります。
福祉タクシー(介護タクシー) | 介護保険タクシー | |
①対象者 | 一般的なタクシーに乗るのが難しい方 | 要介護1~5認定を受けている方 |
②利用目的 | レジャー目的も可 | 日常生活に必要な外出のみ |
③サービス範囲 | 乗り降りの介助は原則なし | 身体介助を含む |
④料金 | 全額自己負担 | 介助費用は1~3割負担 |
⑤車両 | 車椅子のまま乗り込めるワゴンタイプなど | ストレッチャーで寝たまま乗れるものもある |
⑥付添人の同乗 | 可 | 原則不可 |
⑦利用手順 | 事業者に直接予約を取る | ケアマネジャーにケアプランの作成を依頼する |
以上の7つの観点から、福祉タクシーと介護保険タクシーの違いを詳しくみていきましょう。
福祉タクシーと介護保険タクシーの違い①対象者
国土交通省によると、福祉タクシーは以下のような方を対象にするものと定められています。
- 身体障害者手帳の交付を受けている者
- 要介護認定を受けている者
- 要支援認定を受けている者
- 上記1~3に該当する者のほか、肢体不自由、内部障害、知的障害及び精神障害その他の障害を有する等により単独での移動が困難な者であって、単独でタクシーその他の公共交通機関を利用することが困難な者
- 消防機関又は消防機関と連携するコールセンターを介して、患者等搬送事業者による搬送サービスの提供を受ける患者
(参考:国土交通省「一般乗用旅客自動車運送事業(福祉輸送事業限定)の許可等の取扱いについて」)
福祉タクシーは身体障害を持つ方や要支援・要介護認定を受けている方だけでなく、一人でタクシーなどの公共交通機関を利用するのが難しい方も利用可能です。
このように福祉タクシーの対象範囲は広く、さらに各事業者によっても異なります。
「身体障害者手帳や要介護認定がなければ利用できない」というものではないため、要介護認定は受けていないけれど、一般のタクシーなどでの移動が不安な方も利用できるサービスです。
一方、介護保険タクシーは要介護認定を受けている方が対象です。
介護保険タクシーを利用するためには、以下の条件をクリアしている必要があります。
- 要介護認定を受けている
- 自宅や有料老人ホーム、サービス付き高齢者向け住宅、ケアハウスに暮らしている
- ケアマネジャーが作成したケアプランに「乗降介助・身体介護が必要」と記載されている
そのため、要介護1以上でも車の乗り降りに介助がいらない方は、介護保険タクシーを使うことができません。
また、要支援認定を受けている方も介護保険タクシーを使えないか、使えても全額自己負担になってしまう点に注意しましょう。
福祉タクシーと介護保険タクシーの違い②利用目的
福祉タクシーは介護保険が適用されない分、利用目的に制限がない点が大きな特徴です。
福祉タクシーの利用目的としては、以下のようなものが挙げられます。
- 通院
- 退院時の送迎
- 買い物
- 美容院
- お墓参り
- 冠婚葬祭
- 銀行
- 役所での手続き など
通院や買い物など日常生活に必須の外出から、観光などのレジャー目的まで、福祉タクシーはどのような目的でも利用できます。
一方、介護保険タクシーは「日常生活上または社会生活で必要な行為に伴う外出」のみが対象です。
そのため、以下のようなケースしか介護保険が適用されません。
- 通院
- 預貯金の引き出し
- メガネや補聴器など本人が現場に行かなければならない買い物
- 選挙への投票
- 役所に届け出をする場合 など
上記のように、介護保険タクシーはどれも本人が現場に行く必要があるケースに利用が限られています。
レジャー目的での利用は介護保険適用外となり、介護保険タクシーは利用できないか、利用できても全額自己負担となるため注意しましょう。
福祉タクシーと介護保険タクシーの違い③サービス範囲
福祉タクシーのサービスは、原則としてタクシー業務のみに限られ、乗り降りの介助は含まれません。
事業者によっては、身体介助ができる資格を持ったヘルパーによる介助をオプションで提供しているところもあります。
タクシーへの乗り降りが不安な方は、ヘルパーの介助をオプションで付けられる事業者を選ぶとよいでしょう。
一方、介護保険タクシーは、訪問介護サービスの一種である「通院等乗降介助」と位置づけられています。
通院等乗降介助とは、病院や選挙投票所などの出先で移動介助などをしてくれるサービスのことです。
すなわち、介護保険タクシーは利用者を目的地まで送り届けるタクシー業務のみならず、以下のような外出に関わる身体介助も含まれているのです。
- 着替えなど外出準備の介助
- タクシーまでの移動と乗車介助
- 降車介助
- 病院の受付や受診科までの移動介助
- 薬の受け取り など
ただし、サービスの内容が通院等乗降介助の範囲を超える場合は、訪問介護の別のサービスが適用される場合があります。
どのサービスが適用されるかによって自己負担額が異なるため、あらかじめケアマネジャーによく確認しておきましょう。
また、介護保険タクシーの運転手は通院等乗降介助サービスを行えるように、「介護職員初任者研修」の資格も必要とされます。
「一人で外出するのは少し不安」という方や、介護度が重く寝たきりの方でも、介護保険タクシーなら介護資格を持った運転手が外出先でサポートしてくれるため、安心して外出できます。
福祉タクシーと介護保険タクシーの違い④料金
福祉タクシーは介護保険の適用外であるため、利用料金は全額自己負担です。
運賃体系は、時間制や距離制が採用されている場合が多いですが、各事業者で異なるため、利用する際は事前に料金を確認しておきましょう。
また、自治体によっては福祉タクシーの助成制度があります。
介護保険が適用されないため福祉タクシーは高額になりやすいですが、お住まいの自治体に助成制度があれば負担が少なくなります。
一方、介護保険タクシーの料金には、介護保険が適用されます。
介護保険タクシーの料金は、「移送料金(運賃)」「介助費用」「介護器具レンタル料」の3つに分かれており、このうち「介助費用」のみ介護保険が適用され、1~3割の自己負担で利用可能です。
移送料金は、時間制運賃か距離制運賃のどちらかが採用されています。
また、事業者によっては車椅子やストレッチャーを別途料金を負担してレンタルできる場合があります。
福祉タクシーと介護保険タクシーの違い⑤車両
福祉タクシーと介護保険タクシーで、使われる車両に大きな違いはありません。
福祉タクシーと介護保険タクシーともに、ワゴンタイプやワンボックスタイプが多く使われており、車椅子のまま乗車できるように電動リフトやスロープがついています。
介護保険タクシーの中には、寝たきりの方が利用できるように、ストレッチャーに寝たまま移動できる車両もあります。
福祉タクシーと介護保険タクシーの違い⑥家族などの付添人
福祉タクシーは、家族やヘルパーなども同乗できる点が特徴です。
車の乗り降りが不安な場合に家族が付き添ったり、ヘルパーのサポートを頼んだりできます。
一方、介護保険タクシーは家族などの付添人は同乗できません。
介護保険タクシーの運転手は介護職員初任者研修を受けており、利用者の身体介助もできるため、付添人によるサポートは不要と考えられています。
福祉タクシーと介護保険タクシーの違い⑦利用手順
福祉タクシーは、一般のタクシーのように道を走っているときに手を上げて乗ることはできません。
事前に福祉タクシー事業者に連絡し、予約を取る必要があります。
SOCIARASでは、お電話やメールフォームでご連絡をいただき、福祉タクシーのご利用にあたって、お迎え場所(ご自宅や施設など)と目的地を伺います。
スムーズにご利用いただくために、事前のご予約がおすすめです。
一方、要介護認定を受けている方が介護保険タクシーを利用したいときは、まずケアマネジャーに利用条件を満たしているかの確認が必要です。
利用条件を満たしていたら、ケアマネジャーが目的地や必要な介助、外出後のスケジュールなどを詳細に記載したケアプランを作成します。
ただし、外出準備の介助や薬の受け取りなど、移動に関連した介助はケアプランに記載がなければ受けられないため、あらかじめケアマネジャーに受けたいサービス内容を伝えておきましょう。
実際に介護保険タクシーを利用する日が決まったら、ケアマネジャーを通してタクシー会社に予約を取ります。
このように、介護保険タクシーを利用するためには事前の準備が必要であるため、介護保険タクシーを利用したいという方は、まず担当のケアマネジャーに相談してみましょう。
福祉タクシーと介護保険タクシー、どんな方におすすめ?
福祉タクシーと介護保険タクシーの違いを、さまざまな観点から紹介しました。
ここでは、福祉タクシーと介護保険タクシーはそれぞれどのような方におすすめできるのかについて紹介します。
福祉タクシーがおすすめな方
福祉タクシーは、幅広い目的でタクシーを利用したい高齢者におすすめです。
福祉タクシーは要介護認定が不要であるため、「要介護認定を受けるほどではないけれど、一人で公共交通機関を使っての外出に不安を感じる」という方が便利に利用できます。
買い物や美容院、お墓参りなどに出かけることは、心身のリフレッシュになり、認知症やフレイルの予防効果も期待できます。
高齢者が外出する効果については、「高齢者が外出することで得られる効果・メリットとは?フレイル予防にも」で詳しく解説していますので、ぜひご覧ください。
「近くに公共交通機関がなく、なかなか外出できない」という方は、お住まいの地域の福祉タクシー事業者を調べ、利用を検討してみましょう。
介護保険タクシーがおすすめな方
介護保険タクシーがおすすめな方は、要介護1~5で介護保険タクシーを利用でき、目的が通院や投票などに限られ、レジャー目的では利用しない方です。
介護保険タクシーは介護保険が適用されるため、福祉タクシーより安価で利用できます。
そのため、介護保険タクシーを利用できる場合は積極的に利用し、外出の目的によって介護保険タクシーと福祉タクシーを使い分けるのがおすすめです。
買い物やレジャー目的の場合は全額自己負担にはなりますが、福祉タクシーを利用するのも一つの方法です。
SOCIARASの福祉タクシーはさまざまなお出かけにご利用いただけます!
福祉タクシーと介護保険タクシーは、介護保険が適用されるかどうかで対象者や利用目的などが異なります。
介護保険タクシーは通院や預金の引き出しなど、本人がその場にいなければならない用事のみに限られますが、福祉タクシーは友人との外食や映画鑑賞などのレジャー目的でも利用できます。
両者の違いをまとめると、以下のとおりです。
福祉タクシー(介護タクシー) | 介護保険タクシー | |
①対象者 | 一般的なタクシーに乗るのが難しい方 | 要介護1~5認定を受けている方 |
②利用目的 | レジャー目的も可 | 日常生活に必要な外出のみ |
③サービス範囲 | 乗り降りの介助は原則なし | 身体介助を含む |
④料金 | 全額自己負担 | 介助費用は1~3割負担 |
⑤車両 | 車椅子のまま乗り込めるワゴンタイプなど | ストレッチャーで寝たまま乗れるものもある |
⑥付添人の同乗 | 可 | 原則不可 |
⑦利用手順 | 事業者に直接予約を取る | ケアマネジャーにケアプランの作成を依頼する |
要介護認定を受けていない比較的元気な高齢者や、レジャー目的で使いたい方は福祉タクシーを、要介護認定を受けていて通院などでしか利用しない方は介護保険タクシーをおすすめします。
SOCIARASの健康サポートタクシーは、通院や退院時の送迎、買い物、お墓参りなどさまざまな目的でご利用いただける福祉タクシーです。
料金は分かりやすい時間制を採用しており、10分900円とリーズナブルな価格でご利用いただけます。
車両は車椅子も対応可能なものを使用しています。
付き添いが必要な方には、介護職員初任者研修を修了した女性ヘルパーの付き添いサービスも提供していますので、ぜひご利用ください(30分500円~)
SOCIARASの福祉タクシーのサービス提供エリアは、奥州市内と金ヶ崎町です。
奥州市で、ちょっとした外出をしたいときに交通手段がなくてお困りの方、一般のタクシーでは乗り降りに不安がある方は、まずはお気軽にお電話やメールフォームからお問い合わせください。